先週金曜日、某製薬企業の京都支店が開催した医薬品卸幹部向けの勉強会で講演させていただいた。


 全国各地から講演のオファーを受けているため、その都度、都道府県別のデータに基づいた資料にアレンジしている。


 例えば、今回の京都市では、


●療養病床入院患者の医療区分1の70%相当の方を在宅で対応することについては不可能とのことであるが、どのように対応するのか。


●介護療養病床の入院患者のうち医療区分1の方の割合が全国平均よりかなり高いが、どのように分析しているか。


といった意見が「地域医療構想調整会議」のなかで出されていることなどを紹介した。


 一方、12月14日の中央社会保険医療協議会(中医協)には、「2018年度の診療報酬改定に向けた現状と課題ついて」と題する資料が事務局(厚生労働省)から示された。


 2018年度は、診療報酬改定と介護報酬改定に加え、医療計画と介護保険事業支援計画の見直し、全国の市町村による在宅医療・介護連携推進事業の取り組み、医療費適正化計画などが30年に一度(その後は6年に一度)のタイミングで“同時多発”する“Judgement Year”になる。


 これまでの行いが患者や地域のためになっているのか判断され、生き残りが許される者・組織を決める「審判の年」となるだろう。


 今回の中医協に挙げられた“検討に向けた考え方(案)”に示された検討事項の最初に来ているのが、「療養病床・施設系サービスにおける医療」だ。


●介護療養病床の見直し(新施設体系)を踏まえた、外付け医療サービスの給付調整の在り方について


●療養病棟の入院患者の患者像を踏まえた適切な評価の在り方について


 この項目を見ると、前出の京都市にある療養病床は、大きなダメージを受けることになりそうだ。


 今後の中医協に出てくる検討項目と、地域医療構想や地域包括ケアに関する動きを交互に見ながら、担当地域・施設への影響を考えてみよう。



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川越満(かわごえみつる) 1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。