今年もあと350日程度しかない。お正月気分はとっくに抜けていると思うが、優秀なビジネスパーソンと凡庸なビジネスパーソンの差は「初め」と「終わり」につく。


 最もわかりやすい「初め」は「月曜日」だろう。凡庸な人は月曜日に手を抜くが、優秀な人は他の曜日よりも働く。オススメは他の曜日の“2倍”のタスクを積み上げておくことだ。私自身、月曜日に仕上げなければならない講演資料などを予定に入れておく。そうすることで、週の初めから“尻に火がつく”ことになる。月曜日だけで、優秀な人と凡庸な人では3〜4倍の業務量の差がついてしまう。同様に「終わり」の「金曜日+週末」にもやるべきことを積み上げておきたい。


 週単位よりも大きいものには、


・1月と12月(4月と3月)


・第1四半期と第4四半期


があり、小さいものには


・9時(始業時間)と17時(終業時間)


などがあるだろう。あなたの周りの優秀な人の行動を観察してみてほしい。「初め」と「終わり」にかける情熱が凡庸な人とは違うことに気づくだろう。


 MRのディテーリングも優秀なMRと凡庸なMRでは、特に「初め」に大きな格差があることがわかった。


 現在、2月中旬の出版に向けて編集作業を進めている書籍『One Patient Detailing実践ガイドブック』には、リープ・インサイト研究所にご提供いただいたMRの“生”のディテーリングの分析結果を紹介している。


 それによると、「優秀なMRはディテーリングが一貫しているが、凡庸なMRはディテーリングが発散している」ことが明らかになった。具体的には、凡庸なMRは、相手の医師が関心を持ったとしても、その心の変化を読めず、会社から指示された質問を繰り返すが、優秀なMRは、まるで魚釣りのように食いついた質問からうまくディテーリングを展開してクロージング(終わり)に結びつけている。


 この話を日々MRに同行している営業所長向けの講演の中ですると、彼らは大きく頷いてくれる。


 実は、行きつけのレストランのオーナーも同じようなことを話していた。凡庸な店長は、客の注文をこなすのに精一杯で、客単価を上げることができないが、優秀な店長は客が注文する“ストーリー”(順番のようなもの)を最初にコントロール(提案)できるため、数多くの客をさばくことができ、客単価も上げられるという。


 あなたの「初め」と「終わり」は、ちゃんと優秀なモードになっているだろうか。


 今年もよろしくお願い致します。 


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川越満(かわごえみつる) 1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。