土日は、医薬経済社から『なぜあの先輩MRは仕事が早くて楽しそうなのか?』などの著作があるMR-NETの池上文尋と2つのイベントを行った。


 土曜日は、池上さんと始めた、MRのための知恵袋<アリストテレス>のリアルイベント「知恵の輪倶楽部」を開催し、医療法人南星会湘南なぎさ診療所の中村哲生事務長から、これから2025年までに在宅医療マーケットに起こる“不都合な真実”を学んだ。


 中村氏によると、今後の改定で強化型在宅療養支援診療所(病院)における在宅看取り実績の施設基準は「30件」まで拡大するという。このハードルをクリアできる診療所が地域包括ケアの中で“勝ち組”になるということだろうか。


 日曜日は「MRになりたい学生のためのシークレットセミナー」に出演した。就活生向けに医薬品業界やMRについて、10年以上ボランティアで講演しているが、MR人気の“ピーク”が過ぎたことを感じる。一般のメディアには厳しい声しか掲載されないため、MRという職種の未来に不安を感じる学生が多いようだ。


 確かに、シェア・オブ・ボイス(SOV)型の“旧型MR”の未来は明るくないかもしれないが、AIや“MR”を駆使するMRは、これから勝ち組になれると思っている。


 「“MR”を駆使するMR」というフレーズを二度見してしまった読者がいるかもしれなない。


 医薬情報担当者じゃないほうのMRは、Mixed Realityの略で「複合現実」と呼ばれている技術だ。現実世界に仮想世界を重ねたAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を用いたポケモンGOに対して、複合現実のMRは、VR(Virtual Reality:仮想現実)とARを複合させたようなものだ。文章で説明するよりも下記の動画を観てもらったほうが早いだろう。

→ https://youtu.be/aThCr0PsyuA


 例えば、後発医薬品メーカーは、今後、数多くのMRを雇用することが難しくなる。しかし、MRをゼロにはできないから、少数精鋭で800品目を扱い、どんな質問にも答えられるスーパーMRを育てなければならない。そんなの無理だろう。AIやAR、MR(複合現実)のサポート抜きには。


 MR数自体は減るかもしれないが、勝ち残ったMRが“MR”を駆使しながら活躍する姿を見ることを考えると、ワクワクが止まらない。

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川越満(かわごえみつる) 1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。