ファーストリテイリングが展開するカジュアル衣料専門店「ユニクロ」の国内事業が停滞している。既存店売上高は前期(16年8月期)は横ばい、今期(17年8月期)も今年1月までの5ヵ月間は前期比微減になっている。


 ユニクロの停滞の理由はいくつか考えられるが、過去の好調さに浮かれ、消費者を見失ったことが主因と指摘されている。ユニクロでは今期から価格を下げ来店客数を増やすように誘導しているようだが、十分な効果が出ていない。


 一度離れた顧客を引き戻すのは難しいのか。ユニクロにとどまらず、国内に進出している外資系の製造小売業(SPA)も最近は低迷している。SPAは賞味期限切れになってしまっているのか。一体何が背景にあるのか——。


 国内ユニクロ事業の既存店売上高は前期は0.9%増となったが、今期は今年1月まで逆に前年同期比▲0.4%となっており、停滞感が強まっている。理由はいろいろと指摘されている。例えばヒット商品の不在や、入居するショッピングセンター(SC)のうち、売上高が低迷するSCが増えたことなどがある。最大の理由は、ユニクロは過去2度にわたる値上げを実行しているが、この価格でこの品質の商品が買えるのかという価値が希薄化したことにあると言っていい。


 ユニクロでは今期に入って価格を修正して値下げできる商品は値下げして戻しているようだ。それは客単価と客数の関係に表れる。前期は値上げの影響が残り、ほぼ一貫して毎月のように客単価が上昇していたのに、今期に入ってからは客単価が下がる月が多くなっている。


 つまり、商品価格を下げて客数を増やし売上げを稼ぐ戦略に転換していると言える。しかし、その戦略が実っていない。月次の売上高は低迷状態だ。一度離れた顧客を引き戻すことは難しいとされるが、その轍をユニクロは踏んでしまった。


 もうひとつ、ユニクロが停滞している原因がある。それは姉妹ブランドの「ジーユー」の存在感が大きくなっていることだ。


 国内ユニクロ事業の16年8月期の売上高は前期比2.5%増の7998億円、本業の儲けを示す営業利益は▲12.0%の1038億円となったのに対し、ジーユーの16年8月期は売上高1878億円、前年同期比32.7%増、営業利益は34.8%増の222億円を達成している。


 つまり、相対的に安くなくなったユニクロと逆に、かつてのユニクロのように品質に対する価格で優位に立ったジーユーがユニクロの半額で買えるという戦略を展開し、ユニクロブランドのシェアを食う、カニバリ現象を起こしていると言える。


 結果としてユニクロは不採算店を閉めている格好で、国内店舗数は14年4月時点の844店から今年1月現在792店と50店以上減少している。


 今後は簡単に主役交代とはならないだろうが、ジーユーは売上高1兆円を目標に掲げていることもあり、もしかすると10年後、20年後は姉妹逆転現象が起こっているかもしれない。


 それにしてもひと頃、流行のようだった、ファストファッションが最近では低迷状態だし、海外SPAの米GAPが展開する「オールドネイビー」は今年1月末までに日本国内全店を閉鎖、事実上日本からの撤退に追い込まれた。


 オールドネイビーは上陸からわずか4年である。外資は赤字を垂れ流さず、決断の早さには驚かされるが、「オールドネイビー」は上陸のタイミングが悪すぎた。というのも、ジーユーが拡大期に入って攻勢をかけていた時期だったからだ。


 ジーユーは価格的にもオールドネイビーの商品価格政策にバッティングするし、ジーユーの1878億円という売上高は、成長が止まっていたファスト系のSPAにさらに追い打ちをかけるのに十分すぎた。


 国内に先行して上陸しているファストファッション系のSPAはH&M、ZARAなどがあるが、ユニクロをはじめとした、SPAの競争にさらされて、遅れて入ってきたオールドネイビーが、その一番のとばっちりを受けたと言える。ほかの外資SPAもジーユー拡大の影響を受けている。


 ZARAやH&Mなどファスト系のSPAは百貨店の衣料や、一部の国内資本の専門店のシェアを食って成長してきた。それも郊外型SCで優劣が付き始めて、低迷SCに出店しているところは打撃を受けたが、ジーユーがあれよあれよという間に拡大していることが低迷の一因だ。かつてのような高成長を描く構図ではなくなっている。


 熱しやすく冷めやすい日本人の嗜好は、いったんは外資系のSPAに飛びついたが、やはり、そこは日本人のことをよく知っているジーユーに軍配が上がった。


 ファーストリテイリング的には、ユニクロの成長が止まっても第2ブランドが成長しているのだから、今後は経営資源の配分も変わってくるとみられる。


 だが、国内のSPA市場も今後、そう大きくは伸びないのではないか。いい証拠に、仕入れ商品でも品ぞろえにバラエティ感があるしまむらが、再び業績を好転させている。停滞感の出てきた単品大量発想のSPAは今後、低価格でいかに質を上げていけるかの競争に入ることは間違いない。(原)