年間売上1000億円を超える“ブロックバスター”を生み出した男たちには、どのような「共通点」があるのか。


 2月18日に木村情報技術東京第1スタジオで開催されたMBA(メディカルブレーンアソシエイト)交流会「知恵の輪クラブ」で講演したリーベンスの伊藤正春社長は、①原理・原則(シンプル、一貫した行動)②あきらめない(柔軟に、解決策のない問題はない)③決断即実行④自分と製品(プロジェクト)が一体化(母親)⑤複数の製品開発に成功——という5つの共通点に加え、▼読書家(雑学)▼楽天家▼自分の頭で考えて自分の言葉で語る——を挙げた。


 伊藤氏はエーザイで胆石溶解剤「レガレン」、抗潰瘍剤「セルベックス」と「パリエット」、さらにファイザーのED治療剤「バイアグラ」の開発に携わり、世に生み出した開発者である。


 伊藤氏によると、新薬の開発に取り組んでいると、必ず3度は「もうダメかもしれない」という絶望を感じる場面があるという。この“絶望の谷”を抜け出せなければ新薬は世に出ることはない。続けるべきか? それとも止めるべきか? この判断をどのようにしていたのか。講演後の対談で伊藤氏に聞いた。


「ブロックバスターを開発した者の共通点その①である『原理・原則』に戻って判断することです」


 MRにおススメの本を聞いた際も、個人そして人間関係のあり方の“原理原則”を提唱した『7つの習慣』を挙げていたので、伊藤氏は、“原理原則”を心の底から重要視しているようだ。


 もし、「営業本部長」になったら、どのようにMRを指導するか?と対談の中で聞いてみた。原理原則を大切にする伊藤氏は、どのような回答をしたと思われるだろうか。


「MRを辞めた後も、担当した地域で薬剤や治療の選択をサポートする仕事ができるような活動をすることだ」


 まさに原理原則という回答だった。なお、今回の伊藤氏の講演と対談は、後日、MRのための知恵袋サイト「アリストテレス」で公開される予定だ。

  

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川越満(かわごえみつる) 1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。