「すべてのチャネルを使ってMR個人の能力に依存しないモデルを構築することが求められる。これからは、AIを使わない人(組織)とAIを使う人(組織)の戦いになる」 ―――デロイト トーマツ コンサルティング ライフサイエンス&ヘルスケア 執行役員 西本悟朗氏


「ローパフォーマーのMRも、ハイパフォーマーのMRも、使っている言葉や質問に差はない。ハイパフォーマーのMRは、医師と課題形成を“にぎる”プロセスに力を入れている」 ―――リープ 代表取締役 堀貴史氏


 これは、4月19~21日に東京ビッグサイトで開催された「ヘルスケアIT2017」に出演した2人の講師のメッセージの一部だ。


 西本氏は、AI(人工知能)は「機能の集合体」としたうえで、①人の活動を代行する、②人が気づけたことを効率的にする、③人が気づかなかったことを提供する、④人を介さず、行動に移す、⑤人と言葉や文字、描画でコミュニケーションする――ことがAIの活用シーンだと述べ、MRの面談機会が失われていくなか、限られたタッチポイントでいかに評価されるかがポイントだと指摘していた。このような状況の中で生まれたIBMのWatsonなどの“MRを支えるツール”の有用性を示唆した。


 MRを支援するAIについては、21日に講演したバイエル薬品オープンイノベーションセンターR&Dアドバンストアナリティクス&デジタルヘルスイノベーションの菊池紀広マネージャーも、同社がデジタルヘルスの一環としてMRのサポート(社内問合せ窓口)にAIを導入していることを明らかにした。


 また、菊池氏は「これまでは『治療』を事業としてきたが、ペイシェントジャーニーを見たときに、治療の前後にさまざまなニーズがあり、トータルでケアしていく必要性を感じる。デジタルが大きな役割を果たす」と語り、デジタルヘルスに今後も注力する重要性を力説していた。


 リープの堀社長によると、医師の「期待を下回るMR」の割合は30%もあり、「期待を上回る」17%のMRの約2倍も存在する。どんなにデジタルヘルスが進展し、MRをパーフェクトに支援するシステムが完成したとしても、医師とのコミュニケーションが失敗すれば、企業努力は水泡に帰す。  個人の能力を最大化できるシステムをつくった企業が成功することを望む。


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川越満(かわごえみつる) 1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。