今週は各誌ともゴールデンウィークの合併号。週刊現代では、一見地味な構えだが興味深い連載が始まった。『裁判官よ、あなたに人が裁けるか』。執筆者は過去、年金問題や記者クラブ問題で骨太の仕事を重ねてきたベテランジャーナリストの岩瀬達哉氏だ。初回は『「上司」に逆らうと徹底的にパージされる 初公開!裁判官の「出世とカネ」こうなっている』という見出しで、岩瀬氏らしくデータをキメ細かく積み重ねる内容となっている。


 私自身過去2年間、沖縄取材を続けてきて、この国の司法はもはや行政の下部組織になり果てたことを今さらのことながら痛感しつつある。辺野古問題では国が県を提訴する直前に、時期外れの人事で、高裁那覇支部長が交替、新任の支部長は裁判長として県側の証人申請をすべて却下して、官邸の期待にたがわぬ国の完全勝訴判決を下した。


 あるいは、鉄条網をペンチで切断した、などという通常なら起訴どころか、勾留延長もされないような微罪で、反基地運動のリーダーが逮捕・起訴されたが、地裁は延々と約5ヵ月間、地検の求めるまま保釈も家族との接見も拒み続け、異常な長期勾留を容認した。国会で審議されている共謀罪においては、公安当局がたとえば反原発運動、あるいは反基地運動などの市民運動家を「でっち上げの共謀容疑」で捕まえようとしても、裁判所がきちんとチェックして逮捕や勾留を認めないはずだ、とされているが、沖縄の現状を見る限り、基本的に裁判所は検察の言いなりだ。チェック機能など、まず働かないと考えるべきだろう。


 ちなみに、この沖縄の事件では、公判が始まったばかりなのに先月、担当検事が検察庁を突如、退職する異例の事態となっている。こちらは検察庁内部の話だが、このリーダーの政治的逮捕・隔離は、権力中枢の意思だったのだろう。詳細は不明だが、直接の担当者は検事の地位を捨て、事件を投げ出してしまったのだ。この国の司法は相当におかしなところまで来てしまっている。岩瀬氏の時宜を得た連載に期待したい。


 週刊文春は、『仰天スクープ 安倍首相が頼る「運勢」のお告げ』『稲田朋美「資産防衛術」の研究 不動産8軒所有で資産10億円!』『倉本聰 独占インタビュー「フジに蹴られた渾身の人間ドラマ」』など読み応えのある記事が並ぶ。首相の“お告げ依存”記事では、指南役から届く「運勢メール」の文面まで報じているのがすごい。もちろん記者の取材力の賜物ではあるが、官邸の首相周辺にもトップの行状を冷ややかに見ている人がいるのだろう。


 先週、中川俊直・前経産政務官の“重婚スキャンダル”を暴き、気を吐いた週刊新潮も、その続報『重婚ストーカー「中川俊直」に使途不明の「政治資金」』のほか、あの有名人のショッキングな近況を報じた『120歳まで生きたい「オノ・ヨーコ」の幻覚型認知症』、あるいは大麻使用で有罪判決を受けた元女優・高樹沙耶の独占手記など、独自ネタを掲載した。


 近年、週刊現代と同様、スクープや本格取材モノでなく、企画記事に軸足を置くようになった週刊ポストの路線には、個人的には残念な思いも抱いているのだが、そんななか、今週は企画記事ではあるものの興味深い特集が2つ、載っていた。『世の中の一番の読書家は「塀の中の人々」だった 囚人たちの「愛読書」』という記事と、『しんぶん赤旗と聖教新聞 あなたの知らない「2大機関紙」の世界』である。マンパワーやコストの制約から“ストレートニュースでなく企画へ”とならざるを得ない苦しさはわかるのだが、ならば企画は企画として頑張ってほしい。アイデアや着眼点の勝負も楽ではないはずだ。



 最後に私事の告知で恐縮だが、週刊朝日での長期沖縄ルポ連載を書籍化した『国権と島と涙 沖縄の抗う民意を探る』(朝日新聞出版)が発売されました。連休中にでも、ぜひご一読を! 


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三山喬(みやまたかし) 1961年、神奈川県生まれ。東京大学経済学部卒業。98年まで13年間、朝日新聞記者として東京本社学芸部、社会部などに在籍。ドミニカ移民の訴訟問題を取材したことを機に移民や日系人に興味を持ち、退社してペルーのリマに移住。南米在住のフリージャーナリストとして活躍した。07年に帰国後はテーマを 広げて取材・執筆活動を続け、各紙誌に記事を発表している。著書は『ホームレス歌人のいた冬』『さまよえる町・フクシマ爆心地の「こころの声」を追って』(ともに東海教育研究所刊)など。