患者満足度の高い医療機関を表彰する「医療機関アワード2017」(主催:一般社団法人日本医療ホスピタリティ協会)が9月23日に都内で開催され、医科部門:札幌マタニティ・ウィメンズホスピタル、歯科部門:オレンジ歯科クリニック、自由診療部門:船橋中央クリニック、治療院部門:出雲中央整骨院――がそれぞれ各部門の最優秀賞を受賞した。 


 基調講演には、前回に引き続き、ディズニーの神様シリーズの鎌田洋さん(ヴィジョナリー・ジャパン代表取締役)が登壇した。実は、私が講演家を目指したきっかけが、約20年前に鎌田さんの講演を聴いて涙したからだったのだ。長い歳月を経て、「鎌田さんの講演を聴いてから、ずっと鎌田さんのようになりたくて頑張ってきました」とお礼を伝えることができた。 


 鎌田さんは“掃除の神様”チャック・ボヤージン(米国ディズニーランドの初代カストーディアル・マネージャー)から教えられたこととして「掃除は汚れてからするのではなく。汚さないためにするのだ」という言葉を講演の中で紹介した。「人はキレイにすればするほど汚さなくなる。東京ディズニーランド開業当時はゲストとの戦いだったが、今はほとんどのゲストが汚さなくなった。掃除は人の心をも浄化する」と語った。 


 アワードの終了後の懇親会で、都内で開業している眼科医と隣の席になった。 


 最初は共通の友人を交えて、たわいもない話をしていたのだが、終盤にズバリ「良いMRと会いたくないMR」の違いについて聞いてみた。


 会いたくないMRはやはり、処方依頼や最新のエビデンスの紹介のみといったシェア・オブ・ボイス(SOV)型のMRだった。 


 一方、良いMR、評価しているMRは「新薬を使い始めて、課題や疑問出てきたときに、絶妙のタイミングで、その課題に関連した情報を持って来てくれるMRがいる。こちらから頼んでいないのに」と、笑顔で話してくれた。 


 この眼科医の言葉を聞いたとき、鎌田さんから聞いた「掃除は汚れてからするのではなく。汚さないためにするのだ」というフレーズを思い出し、「“回答”は質問されてから出すのではなく、質問されないためにするのだ」と置き換えながら聞いていた。 


 医師に“So what?”(だから何?)と感じさせる情報提供は、その都度、“信頼の預金残高”をマイナスにすることになる。So what?と思わせない活動を心がけよう。 


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川越満(かわごえみつる) 1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。