シリーズ『くすりになったコーヒー』


 紫陽花(あじさい)が綺麗な季節になりました。鎌倉の長谷寺や明月院へ行くのもいいですが、町中のあちこちに咲いている花も結構いいですよ。


●紫陽花の色は変えられる。


 地植えの花は土壌の酸性度(pH)を変えると変わる。そんな情報がネットに山ほど書いてあります。今回はそんな陳腐な話ではありません。まだ論文の著者しか知らない新情報をお届けします。特に人気のある青色を綺麗に咲かせるのが難しいと思っている方、園芸家なら見たこともないほど綺麗な青色を作れるかもしれませんよ。


●紫陽花の青は『デルフィニジン+アルミニウム+クロロゲン酸』なのである(詳しくは → こちら)。




 デルフィニジンとはブルーベリーのアントシアニンと似た紫陽花の色素ですが、これだけでは綺麗な青にはなりません。図に赤字で描いたように、アルミニウムが必要です。デルフィニジンは紫陽花自身が作る色素ですが、アルミニウムは土壌から吸収しなければなりません。そのためには酸性の土壌が必要なのです。


 日本の土は酸性に傾いているそうです。酸性雨が多く降りますし、植物が茂っていることも酸性化する要因です。ですから特に酸性になるような措置をしなくても、紫陽花の色は青色になりやすいのです。しかし、綺麗な鮮やかな青色にするには発色の補助因子が必要なのです。


●コーヒーのクロロゲン酸は紫陽花の色を青くする補助因子である。


 これが今回の発見目玉です。クロロゲン酸は植物界に広く分布しているので、紫陽花の花に含まれていても不思議ではありません。でもそれが紫陽花独特の青色と関係しているなんて、言われてみなければ解りません。


 ということで、紫陽花の色を青くする3つの要素が整いました。アルミニウムは根から吸収されますが、クロロゲン酸はどうでしょうか?クロロゲン酸を土壌に撒いたり、花瓶に入れておけば、見事な青に変身するでしょうか?クロロゲン酸含有量最大のコーヒーの豆に、また1つ楽しい夢が膨らみました。
追記:コーヒー滓の活用法の1つに「肥料」があります。コーヒー滓を紫陽花の根基に撒いてみることといたします。


(第279話 完)


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