シリーズ『くすりになったコーヒー』


 拙著「医食同源のすすめ(医薬経済社2011年)」によれば、病気の予防で食べ合わせの効果を出すためには、1日に26〜30種類の食材を食べる必要があります。この関係は、1970年代に発表された「飲んだ薬の数と副作用の頻度の関係式」から導かれました(詳しくは → こちら)。


●この関係は45年経っても変わらない。


 1970年代のデータでは、薬の数nと副作用の頻度の関係は下図の左側の赤色グラフのようになっていました。薬が20種類だと、副作用の頻度は約50%なので、2人に1人が副作用に見舞われます。この関係を食べ物に当てはめると、「飲み合わせの副作用」が「食べ合わせの相乗作用」となって、病気の予防に役立ちます。勿論、コーヒーだって1つに加えて数えます。薬の飲み合わせは副作用に繋がりますが、食べ物の食べ合わせは元気に繋がると云うわけです。


 赤いグラフを右側のように拡大して、青に変えて示します。左より見やすくなっています。昔のデータは2つあって、クラフさんとマーチンさんのデータです。2つのデータに挟まれた部分はバラツキに相当する部分です。そうすると、飲んだ薬の数(または食べた食材の数)が26〜30あれば、飲んだヒトすべてに副作用(または食べた人すべてに相乗作用)がでるのです。



 さて、それから45年が経って、この関係に変化があるでしょうか?それともないでしょうか?


●昨年、イギリスのグスリー博士らが新たな「薬の飲み合わせと副作用頻度の関係」を発表した(詳しくは → こちら)。


 この論文に書かれている薬の数と副作用頻度の関係を、上のグラフ右に赤で書き込みました。すると、ほんの少しだけグラフは下方移動しましたが、基本的に同じ関係になりました。45年間の薬の進歩は、副作用(相互作用による副作用)の頻度をほとんど減らしていないのです。


●薬の相互作用の副作用頻度は、「薬が変わっても変わらない」という、何か解らないが自然の原理に従っている。


 としか思えない僅かな変化しか起こっていません。この自然の原理とは一体何なのでしょうか?筆者が思うに、これこそが、確率に支配された食べ合わせの相互作用(良い意味で相乗効果として出る)という原理なのではないでしょうか?読者の皆さんはいかがお考えですか・・・解ったらぜひご一報ください。


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(第270話 完)


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