シリーズ『くすりになったコーヒー』
多くの人にとってお茶とコーヒーほど医食同源なものはありません。どちらも食事につきものですし、主成分のカフェインが薬であることが特徴です。そしてこの2つがなかったら、食事の気が抜けてしまいます。
そういうカフェインで、日本初の死亡事故が起こりました。お茶やコーヒーで亡くなった人は居ませんが、添加物としてのカフェインと薬としてのカフェインの相加効果、更には体調不良が重なったようです(詳しくは → こちら)。
●カフェイン飲料+カフェイン目覚まし薬+過度の体調不良 → カフェイン中毒
これを教訓として活かすには、『カフェイン飲料とカフェイン配合薬』の一覧表が参考になります。
さて、カフェインを配合した薬の外箱にはカフェイン量が書いてあります。目覚ましに必要なカフェインの量は、1回に100〜200mgとなっています。片やコンビニで買えるカフェイン飲料にはほとんど書いてありません。これも事故死の一因でしょう。
●カフェイン過剰摂取となる一例:風邪を引いて節々が痛いけれど、薬局で買ったかぜ薬と鎮痛薬を飲みながら出勤。1日3杯のコーヒーは欠かさないし、更なる元気をと、ドリンク剤だの眠気覚ましだのも用意して・・・1日500mgは軽く越えてしまいました。
ここで大事なことは、カフェインを飲んだとき、分解と排泄の遅い人が居るということ。この性質は遺伝子に原因があるので変えることはできません。普通の人なら500?のカフェインが、1000にも2000にもなってしまいます。そして事故が起こります。
●カフェイン代謝酵素CYP1A2に変異があると、カフェインの体内貯留時間が増えるし、血中濃度も高くなる。
CYP1A2にカフェインの代謝を遅らせる変異のある人口は、最大に見積もって26%と考えられます。つまり4人に1人の割合です。この数字が大きいか小さいかはわかりませんが、飲み過ぎの副作用以外に何か特徴があるでしょうか?
●カフェインの代謝が悪い人は、カフェインがよく効く人でもある。
災いを転じて福となす・・・正にそういうことなのです。コーヒーは適量を飲んでさえいれば、中毒のリスクはないし、代わりに病気予防効果が出てくるのです。でも適量には個人差があるのです。人並みのコーヒーを飲むと気分が悪くなる人は、人より少ない量のコーヒーを飲んで、それでも気分が悪くなるかどうかを知っておくことが大事です。
●量を減らしさえすればコーヒーが美味しいと感じる人へ・・・自分にあったコーヒーの飲み方を知っていれば、健康の役に立つはずです。
【参考】
医者が処方箋を書くときの「無水カフェイン」の標準投与量
1回100〜300mgで、1日3回300〜900mg
(第265話 完)
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