シリーズ『くすりになったコーヒー』
アルコールを飲まないか、ちょっと(<20グラム/日)しか飲まない人が健康診断でNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)と診断されました。こんな例が増えています。
NAFLD(ナッフルド)を治さずにいると、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)になるかもしれません。そうなると、やがて肝硬変や肝がんになるリスクが高まります。こんな例もやはり増えているのです。
●コーヒーを飲んでいる人は、NAFLDになりにくい(詳しくは → こちら)。
この論文はネイチャー誌にも引用されて、編集部の解説記事が載っています。そのページに描かれたマグカップのイラストを紹介します。NAFLDやNASHだと言われた方は、こんなマグカップで毎日コーヒーを飲んでいれば、その思いが叶えられるかもしれませんよ。筆者の知る限り、ヒトの臓器を絵柄にしたコーヒーカップは初めてです。
NASHは、NAFLDの脂肪肝が脂肪肝だけにとどまらず、炎症や線維化をともなって悪質化したものです。肝臓に溜まった脂肪が、肝臓に炎症や線維化をもたらすのです。コーヒーは肝臓に脂肪が蓄積するのを防ぎますし、大量の脂肪が原因の炎症を予防するので、NAFLDやNASHになるリスクを軽減するのです。
●非アルコール性の脂肪肝には、ストレスによる酸化障害も関係している。
そういうことですから、有効成分はカフェインの他にも考えられます。活性酸素の蓄積を防ぐクロロゲン酸も、NAFLD予防に寄与するはずです。焙煎中にトリゴネリンからできるニコチン酸やNMP(N-メチルピリジニウム)の寄与も考えられます。ですから、予防効果の優れたコーヒーとは、浅煎りと深煎りをブレンドしたもの、あるいは1日に浅煎りと深煎りを飲み分けるなど心がければ、肝臓を守るコーヒーの効果は、より一層強まると言えるのです。
●コーヒー店では売っていない「成分ブレンド=浅煎り+深煎り」は、試す価値のあるコーヒーです。
ではありますが、なかなか手に入りません。自分で焙煎は厄介です。どうしてもと思う方はネットで購入可能です(詳しくは → こちら)。
注:コーヒーはあくまでも予防のために飲むものです。現にNASHまたはNAFLDの方について、コーヒーの効果は不明です。
(第189話 完)
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栄養成分研究家 岡希太郎による
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