シリーズ『くすりになったコーヒー』


 日本人の60%が慢性疲労を感じているそうです。東京の電車に乗ってみると、座っている人はみんなうな垂れて、起きている人はスマホか携帯をやっています。ホームでスマホに熱中し、転落して死んだ人もいるそうです。「IT機器依存症」による疲れは、原因がわかっているので、「慢性疲労症候群」とは言われません。それでは疲れている日本人は、どうすればいいのでしょうか?


●疲れの原因がわからないなんて不思議な話だが、もし疲れを感じているなら、慢性疲労症候群と言われないうちに、早めに手を打つべきである。


「気がついたら慢性疲労症候群だった」などとは、あってはならないことなのです。予防法はただ1つしかありません。


●疲れを持ちこしてはならない。
 そのために何をしたらよいか?ヒントは、かつての五輪金メダリスト、ベン・ジョンソン(写真:ドーピング発覚でメダル剥奪、現在51歳)に聞けばわかります。



●必須栄養素のビタミンとミネラルの、不足がちなものを、食べるようにする。


 必須栄養素が不足すれば、必ず病気になってしまいます。必須栄養素という用語は、「病気にならないために絶対に必要な栄養素」という意味なのです。


●ドーピングなんぞに手を染めなくても、必須栄養素を十分にとれば、オリンピックのメダルにも手が届く。


 ベン・ジョンソン氏は、そう語っているのです。氏は金メダル剥奪後、懸命に勉強して、この夏、東京で開かれた講演会で、「必須栄養素はドーピングより優れている」と言って、アスリートの卵達に日頃の身体管理を呼びかけました。


 コーヒーのカフェインも、かつてはオリンピックでドーピングの対象でした。しかし科学的な根拠がないということで、アテネ大会以来は無罪放免になりました。


●カフェインの特徴は、他の薬の作用を強めることであって、カフェイン自体の毒性、習慣性は弱い。


 そういうことで、もちろんカフェインは必須栄養素の作用をも強めています。抗酸化性のビタミンC、ビタミンE、さらに必須不飽和脂肪酸であるEPAとDHA、これらの抗酸化性はお茶やコーヒーを飲むことで、さらに強まるのです。


●体内の活性酸素が減ることで、疲れた細胞は蘇えり、代謝機能や免疫機能も向上する。


 疲れた身体には活性酸素がたくさんあって、細胞が死にかけています。それが全身の疲れとなって現れます。身体はそれを「疲労感」として察知します。疲労感は、酸化障害の証しです。この段階でポリフェノールやカフェインを摂れば、抗酸化性の必須栄養素の働きを強めることができるのです。ですから、食事を侮ってはいけません。アスリートだって同じことです。


●活性酸素が増えるときとは?


1.運動したとき
2.頭を使ったとき
3.ストレスを続けて受けていたとき
4.内臓脂肪が増えたとき
5.必須栄養素が不足したとき


●1〜5の条件が重なったとしても、必須栄養素が十分あって、おまけに必須栄養素の働きを助けるポリフェノールなどを食べていれば、活性酸素を処理できる。


 では、ポリフェノールのような食物成分は、どうして栄養素に指定されていないのでしょうか?筆者の考えは次のようなものです。


【ポリフェノールが栄養素でない理由】


1.ポリフェノールは、身体を形づくる材料ではないから。
2.ポリフェノールを食べなくても、直ぐに病気になることはないから。


【カフェインが栄養素でない理由】


1.カフェインは、発見されたそのときから、薬として分類されてきたから。
2.カフェインは、身体を形づくる材料ではないから。
3.カフェインを食べなくても、直ぐに病気になることはないから。


●それでも、ポリフェノールとカフェインを同時に含むお茶とコーヒーは、世界の2大飲料となっている。


 医者や薬屋に言われなくたって、人類にとってお茶とコーヒーは欠かせない飲みもので、飲めば必ず「身も心も癒される」ことを、誰もが知っているのです。


●疲れを感じたら、まずコーヒーを飲みなさい。もっと飲みたければ、今度はお茶を飲みなさい。


 如何にポリフェノールでも、1つものに頼っていては、疲れはなかなか抜けません。


(第184話 完)


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