シリーズ『くすりになったコーヒー』


●喫煙者はパーキンソン病になり難い。


 これは前世紀から知られていた事実です。今世紀になって、コーヒーを飲んでいる人のパーキンソン病発症率は、コーヒーを飲まない人より低いという調査結果が出てきました。しかし、これにはいつも疑問がつきまとってきました。


●喫茶店でコーヒーをガブガブ飲んでいる人は、タバコもブカブカ吸っている。


 ですから、コーヒーでパーキンソン病のリスクが下がると言われても、「タバコを吸っているからでは?」と言って信じてくれないのです。これは疫学調査の限界とも言えることです。「タバコもコーヒーもパーキンソン病を予防する」ということを、どうしたら証明できるのか?理論的には可能なのですが、実行するとなりますと、物凄い多人数を調べることになりかねません。でも遂にそういう調査結果(メタ解析)が発表されました。


●タバコもコーヒーもパーキンソン病のリスクを下げる(詳しくは → こちら)。


 図を参照して下さい。



 図の横軸、棒グラフ3本ずつの3組は、左からカフェイン摂取量が最も少ない人の群、中央は普通にカフェインを摂っている人の群、右はカフェイン摂取量が多い人の群に別れています。コーヒー摂取量に換算すれば、左はほとんど飲まない群、中央は3〜4杯の群、右は6杯以上の群に相当しています。加えて緑はタバコを吸ったことがない人達、橙は喫煙歴29年以下の人達、赤は同29年以上の人達のグラフです。


 タバコもコーヒーも縁のない人達(左の緑)のパーキンソン病リスクを1.0としますと、コーヒーを飲まないがタバコを29年以上吸っている人たち(左の赤)のパーキンソン病リスクは0.57に下がっています。つまり若いころから29年以上もタバコを吸い続けている人はパーキンソン病の心配をしなくてもよいくらいなのです。


 では、タバコを吸ったことはないけれどコーヒーは1日に6杯以上飲んでいる人達はどうかと言いますと、右の緑で0.78ということです。タバコに比べるとコーヒーの効き目はやや弱いということです。


 ではでは、タバコもコーヒーもガブガブ・プカプカという人達(右の赤)はどうでしょうか?実にリスクは0.48まで下がります。


●タバコを吸ってコーヒーを飲む人達を、タバコもコーヒーもやらない人に比べると、パーキンソン病リスクは半分以下に低くなる。


 ということですから、ならば喫茶店に喫煙コーナーをもっと整備するべきか、と言いますと、どうでしょうか?喫煙は肺癌だけでなくあらゆる癌のリスクを高めますし、心臓病にとっても大きなリスク因子です。国立がんセンターでは、ホームページで喫煙の癌リスクについてPRしています。自分が癌になる確率を予測してみては如何でしょうか(→ こちら)。


●タバコを吸っている人は、今すぐコーヒーに変えたほうがいいですよ。


(第155話 完)


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