シリーズ『くすりになったコーヒー』
健康食品の業界ではポリフェノールが大人気です(第43話も参照)。一般の人達は、「ポリフェノールは体に良いもの」なので、栄養素に違いないと思ってしまいます。ですが、とんでもない間違いです。
●ポリフェノールは栄養素ではない。
栄養素でないどころか、数あるポリフェノールのなかには毒もあるし発癌物質だってあるのです(詳しくは → こちら )。
●身体によいポリフェノールとは、毎日続けて食べられるし、食べても害のない野菜や果物の成分のこと。
健康食品に詳しい人なら、ポリフェノールは野菜や果物に多いことを知っています。しかし、もっとずっと身近なお茶とコーヒーに、ポリフェノールが大量に含まれていることは、意外と知られていないのです。
●コーヒーのクロロゲン酸は、ポリフェノールの王様である。
クロロゲン酸は1杯のコーヒーに30ミリグラム以上、多いときには150ミリグラムも含まれています。これが身体に吸収されて、コーヒー独特の薬理作用を発揮します。
●緑茶のカテキンは、ポリフェノールの女王様である。
カテキンは1杯のお茶(抹茶)に最大50ミリグラムほど含まれていています。カテキンはお茶に特有のポリフェノールですが、クロロゲン酸はコーヒーの他にも根菜類や果実の皮に含まれています。それだけ普通の食べ物なのです。
「野菜と果物が身体によい」ことは、誰もが認める常識です。その訳は、「栄養素のビタミンとミネラルを含んでいる」ということです。前世紀の終りになってポリフェノール人気に火をつけたのは、赤ワインのレスベラトロールでした。何故赤ワインなのかと言いますと、ワイン輸出国のフランスが輸出量の巻き返しを狙った作戦だったようです。その証拠に、レスベラトロールが効き目を発揮するためには、1日に500本の赤ワインが必要なのです。どんなに頑張っても、コーヒーとお茶には適いません。
図を見てください。お茶とコーヒーの両者の成分には共通点があるのです。
【共通点1】どちらもカフェインを含んでいる。
【共通点2】どちらもポリフェノールを含んでいる。
コーヒーもお茶も、カフェインには違いがありませんが、ポリフェノールの方は違っています。ただし、化学構造式が違っていても、含有量と効き目には共通点があるのです。
含有量が多いということは、効き目が強く出ることを意味しています。その効き目については、血圧を下げる、コレステロールを下げる、気分を和らげる、さらにカフェインと一緒に働くと、活性酸素を減らして悪玉脂肪の炎症を抑える、というようなことが解ってきました。
●ポリフェノールを大量に含んでいるお茶とコーヒーは、生活習慣病の予防に欠かせない。
昔の人は、ただ美味しいからといって、お茶やコーヒーを飲んでいたわけではないのです。身体を守る常識だったのだと思われます。
(第145 完)
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