シリーズ『くすりになったコーヒー』


 コーヒーを飲んですぐに感じる胃の痛みなどとは違って、コーヒーを飲み始めて数ヶ月以上、場合によってはそれ以上経ってから出てきたり、一度出ると長引いたりする慢性副作用があります。


●コーヒーに慢性副作用があるとしても、それで実際に悩む人は少ない。


 ちょっと考えてみれば、誰もが当たり前だと気づくでしょう。コーヒーを飲んでいて、何か好ましくない自覚症状が出たら、その人は「もうコーヒーは飲まない」と言って飲むのを止めるからです。


 もしコーヒーがくすりならば、我慢して飲み続ける人も居るでしょうが、そうなると副作用が増悪して、やがて取り返しがつかなくなってしまいます。でも、コーヒーはくすりではありませんから、副作用が出たら直ぐに止めてしまうのが普通です。


●1日10杯以上のコーヒーを飲み続けている人は普通ではない。


 麦茶のように薄味のコーヒーならいざ知らず、普通の濃さのコーヒー10杯には、1000ミリグラム(=1グラム)ほどのカフェインが入っています。お医者さんが添付文書に従って処方する場合、1日の上限は900ミリグラム(=0.9グラム)ですから、1日10杯のコーヒーは、上限を超えてしまいます。ですから毎日10杯飲んでいれば、カフェインの慢性副作用が出ても不思議ではないのです。


●1日100杯のコーヒーは、毒薬を飲むのと同じである。


 詳しい説明は専門的なので、易しく書いた新聞コラムを紹介します(詳しくは → こちら )。


 そんな人は絶対にいないと思いますが、1日100杯のコーヒーを飲む人とはどんな人でしょうか?探してみたらこんな人が見つかりました。これはもはや中毒以上の状態としか言いようがありません。



●コーヒーの飲み過ぎによる慢性副作用は、中毒である。


 軽い中毒は1日10杯で現われる人が居ます。コーヒーを飲まずには居られないという程度の中毒ですが、少しその気になれば飲まずにいられる程度でもあります。


 やや重い中毒では、飲まないでいると頭が痛くなるという程度で、コーヒーを飲めば治ってしまいます。問題はもっと重症の中毒で、何もやる気がしない、気が散って仕事ができない、思考力が鈍くなる・・・などの症状に悩まされるようになります。それでも恐らく禁煙よりは楽に離脱できるでしょうから、胸に覚えのある方は、1日数杯の領域まで減量することをお勧めします。多少の離脱症候は我慢する・・・それが常識というものです。


(第139話 完)


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