シリーズ『くすりになったコーヒー』


 ネズミはコーヒーが大好きです。毎日コーヒーを飲んでいるネズミには物忘れが起こりません(詳しくは → こちら )。どうしてそうなるのかよく解っていませんが、コーヒーの香りのなかに、雌ネズミが放つフェロモンの香りがあるのは確かなことです(詳しくは → こちら )。


 ネズミがコーヒーを好きになるわけは、焙煎したコーヒーに含まれているネズミのフェロモンのせいだと思われます。そのフェロモンとは、実はコーヒーの香気寄与成分の1つと同じものです(マンガを参照)。実に不思議な話ですが、この香りを嗅いだネズミは、いい気分になるらしいのです。



 話変わって、ネズミの天敵である猫のフェロモンは?といいますと、不思議なことに、これもコーヒーの香りのなかに入っています(マンガを参照)。この香りは猫にとって大事なフェロモンではありますが、危険信号でもあるのです。つまり、猫にとっては縄張りを主張する尿マーキングの強烈な匂いの成分なので、これを嗅いだ猫が思うことは、「もしかしたら自分より強い猫の縄張りに入り込んでしまったかも・・・」という恐怖感なのです。ご覧ください、漫画の猫はふるえています。


●猫のフェロモンでもあるコーヒーの香り成分は、挽きたてで淹れたてのコーヒーの良い香りの成分である。


 と言うことは、淹れてから時間のたったコーヒーとか、ましてやコーヒーの搾りかすに、猫のマーキング・フェロモンの香りはなくなってしまいます。ですからネット情報に書いてある「猫よけコーヒー滓(かす)」などというものは、あり得ないことなのです。ちょっともったいない気はしますけれど、庭先やベランダの野良猫に本当にお困りならば、挽きたてのコーヒーを使って撃退すべきなのです。


●高いコーヒーほどよく効きます!


(第133話 完)


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昔からの言い伝えを侮ってはいけない!
「1日30種類の食材を食べていれば病気にならない」…昔からの言い伝え
「必須栄養素をガッチリ食べてカロリー制限していれば健康寿命が延びる」…先端科学
どちらも同じことを言っています。
言い伝えに耳を貸せば、間違った生活習慣を見直したり、病気を予防する食べものに気を配ったり、儲け本位の怪しい健康食品をボイコットしたり、本当に役立つサプリメントを選んだり、身体にあった大衆薬を買って飲んだり、医者にかかるタイミングを間違えないようになるのです。
 日々店頭に立つ薬剤師には「患者説明の豊富なヒント」、製薬会社のMRには「社会学的くすりのエビデンス」、アカデミアの研究者には「目から鱗の研究テーマ」、そして一般消費者には「確かな情報」を提供します。NHKスペシャルで大反響のレスベラトロールなど、ほんの一部に過ぎません。