シリーズ『くすりになったコーヒー』
飲酒検問にひっかかる人が後を絶ちません。昨夜のアルコールの残りが心配な人は、コーヒーをがぶ飲みして少しでも早くアセトアルデヒドを出してしまおうと思ったりしています。時間がなければ運転中に缶コーヒーを飲む人もいます。でもちょっと待ってください。缶コーヒーをいくら飲んでも、アルコールは絶対に消えませんから・・・。
●飲酒はせずに缶コーヒーだけ飲んで運転し、飲酒検問にひっかかった人が実在しています。
西荻動物病院の某獣医さんの奥様は苦い経験をお持ちです。もう10年以上も前の話ですが、小金井署管内で実施されていた飲酒検問で、危うく免停になりかけました。その経緯(いきさつ)をお話しましょう。
実はその獣医さんらと先週末、市ヶ谷土手の桜見物をしたときのことでした。例によってコーヒーに話が及んだとき、誰かが私に聞きました。
「缶コーヒーの味は独特ですよねえ・・・美味しくないんで飲みませんけど」
「でもその味が好きな人も大勢いますよ・・・特にサラリーマンはよく飲んでますよ」
「何が違うんですかねえ?」
「アルコールが入ってるからじゃあないですか!」
「えっ?!本当ですか?」
「そう。エタノールとイソプロパノールが、メーカーによって比率が違ってますよ」
この話に一番驚いたのは獣医さんでした。
「そうかあ〜〜それで解ったっ!」
と、突然大きな声で叫んだのです。何が解ったというのでしょうか?そうです、奥さんが飲酒検問にひっかかりそうになった謎がようやく解けたというのです。あのときの小金井署のお巡りさんの話です。
「お酒飲みましたねっ?」
「いえっ、飲んでません。絶対に飲んでませんから」
「じゃあ何を飲んだんですか?」
「缶コーヒー飲んでますよっ・・・ホラっ!」
「ああそうでしたか・・・それで出たんですね」
「んっ・・・・・」
「ご苦労さんでした。気をつけて運転して下さい」
まずはホッとしたのですが、何とも合点の行かない獣医さんは、当時の小金井署長が大学の先輩だったこともあり、電話をかけて確かめました。
●小金井署の交通パトロール隊は、缶コーヒーでアルコール検査が陽性に出ることを知っていた。
年に一度の市ヶ谷のお花見会で長年の謎が解けたことに、獣医さんは心からよかったと感じたそうです。それもあって、「日本コーヒー文化学会(詳しくは → こちら )。」にも加盟を検討して下さることになりました。
●皆さん、運転中の缶コーヒーにお気をつけ下さい。貴方に免停を言い渡すのは、小金井署のお巡りさんだけではありません(第52話も参照)。
(第132話 完)
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どちらも同じことを言っています。
言い伝えに耳を貸せば、間違った生活習慣を見直したり、病気を予防する食べものに気を配ったり、儲け本位の怪しい健康食品をボイコットしたり、本当に役立つサプリメントを選んだり、身体にあった大衆薬を買って飲んだり、医者にかかるタイミングを間違えないようになるのです。
日々店頭に立つ薬剤師には「患者説明の豊富なヒント」、製薬会社のMRには「社会学的くすりのエビデンス」、アカデミアの研究者には「目から鱗の研究テーマ」、そして一般消費者には「確かな情報」を提供します。NHKスペシャルで大反響のレスベラトロールなど、ほんの一部に過ぎません。