シリーズ『くすりになったコーヒー』
セルライトとは、女性の大腿部皮下脂肪に見られる脂肪組織の1種で、皮膚に凸凹感をもたらす嫌われものです。百聞は一見に如かず・・・まずは写真をご覧ください。
●セルライトに健康上の問題はないが、保有者は誰もが「こんなものは消えたほうがいい」と思っている。
更年期に近づいたり、または体験した女性の大半がセルライトを持っていて、全員が「消えて欲しいっ!」と思っているのに、有効な手段はありません・・・ということで、誰かが「良い方法があるっ!」と言うと、「ぜひ試したいっ!」となって、ついつい効きもしない怪しげなセルライトクリームみたいな商品を買ってしまいます。大抵は何回か使って捨ててしまうのに・・・もったいない話です。
そこで登場するのがコーヒー! ただしこれにも医学的保証はありません。
●コーヒーを淹れた後に残る大量の滓(かす)をココナッツオイルに入れてよく混ぜて軟膏状に練り上げる。入浴時セルライト部分に適量を時計回りに数分かけてよく擦り込んでから洗い落とし、リンスして終了(詳しくは → こちら )。
ココナッツオイルがないときは、オリーブオイルで代用しましょう。それにしても滓だなんて、ちょっとセルライトを甘く見ていませんか?
ネット販売のセルライトクリームにはほとんど例外なくカフェインが入っています。カフェインが皮膚から吸収されて、セルライトの古くなった脂肪塊を燃やしてくれるという苦肉の策です。でもよく考えてみて下さい。仮に大量にカフェインを飲んだとしても、脂肪組織はそう簡単にはなくなりません。そうなる前に心臓が危なくなってしまいます。ましてやカフェインを擦り込んだぐらいでそんなに効くはずはないのです。
セルライトを消すには、「除去クリームを使うだけでなく、運動と食事療法も合わせて実行して、シナージー(相乗)効果を実現しましょう」というのが、セルライト専門美容業者のうたい文句です。要するに「効かない」ということです。それでも何とかシナージーが出ないものかと、祈るような気持ちであれもこれもと何でもやってみるのが、「老いても女心」の証らしいのです。そして最後には「これだけやって駄目なんだから諦めましょう」ということになるのです。何ともわびしい話です。
しかし、諦めるのは未だ早い!
●深煎りコーヒーなら効くかも知れない!?
ネット販売のセルライトクリームに入っているのは只のカフェイン・・・シナージーを期待するなら、深く煎ってダイエット効果もある「深煎コーヒー入りクリーム」を使うべきではないですか?それでも不足なら、お風呂で擦り込んでから、風呂上りに牛乳たっぷりのイタリアンコーヒーを飲んで、更なるシナージーに期待すべきではないですか?ただし、言っておきますが、この話にも根拠はありませんし、そんなことして眠れなくなっても、当局は一切責任を負えません。
●アレルギーにも十分ご注意ください。
(第128話 完)
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栄養成分研究家 岡希太郎による
『コーヒーを科学するシリーズ』
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『医食同源のすすめ』のすすめ
昔からの言い伝えを侮ってはいけない!
「1日30種類の食材を食べていれば病気にならない」…昔からの言い伝え
「必須栄養素をガッチリ食べてカロリー制限していれば健康寿命が延びる」…先端科学
どちらも同じことを言っています。
言い伝えに耳を貸せば、間違った生活習慣を見直したり、病気を予防する食べものに気を配ったり、儲け本位の怪しい健康食品をボイコットしたり、本当に役立つサプリメントを選んだり、身体にあった大衆薬を買って飲んだり、医者にかかるタイミングを間違えないようになるのです。
日々店頭に立つ薬剤師には「患者説明の豊富なヒント」、製薬会社のMRには「社会学的くすりのエビデンス」、アカデミアの研究者には「目から鱗の研究テーマ」、そして一般消費者には「確かな情報」を提供します。NHKスペシャルで大反響のレスベラトロールなど、ほんの一部に過ぎません。