シリーズ『くすりになったコーヒー』


●コーヒーを飲んで頭が痛くなる人は、コーヒーの証(しょう)の人ではない。


 いくらコーヒーに証(しょう)があるからと言っても、これは余りに言い過ぎです。理由は次のようなことがあるからです。


●苦いだけの不味いコーヒーを飲めば、誰でも頭が痛くなる。


 そうなのです。コーヒーを飲んで頭が痛くなるわけは、不味いコーヒーを飲んだからです。美味しいコーヒーを飲んでいれば、決して頭が痛くなることはありません。どんなに健康な人でも、人それぞれの性(しょう)に合うコーヒーがあって、その人はそういうコーヒーを美味しいと感じるのです。自分の性に合わないコーヒーを我慢して飲めば、頭が痛くなるのです。


 さて、性と証の違いは何でしょうか?


●漢方の証とは、その漢方薬が効く人の性という意味である。


 味も効き目の1つと思って下さい。


 漢方を知らない人でも、漢方薬の味を美味しいと感じたら、その人の性はその漢方薬の証に合っていると言うべきです。もし不味いと感じたら、その人はその漢方薬の証の人ではないのです。この話を嘘だと思う人は、犬や猫が草を食べている所を見たことがないのだと思います。ペットの動物でさえ、普段は食べたくないものを食べたくなるわけは、身体の性が変わるからです。つまり病気になったのです。


●人でも動物でも病気になると性が変わって、普段は嫌いなものが好きになる。


 これは漢方、と言うよりも中医の基本です。中医から発した漢方も、病人が無意識に欲している漢方薬を言い当てる術の体系なのです。


●珈琲屋には、コーヒーを飲みたい人の、本当に飲みたい味がわかる。


 だから、そういうコーヒーの達人が淹れるコーヒーを飲んで、「コーヒーは不味い」と言う人はいないのです。これが「美味しいコーヒーを飲めば頭が痛くなることはない」と言うことの意味なのです。


 グタグタと述べてきましたが、「美味しいコーヒーは身体に良い」と言うことには、もう1つ大事な理由があります。


●コーヒーは苦いので、誰もがコーヒーを好きになる。


 これは不思議なことですが、薬理学で説明できる事実です。苦味が人を引き寄せるのです。でも、苦味には美味しい苦味と不味い苦味があるので、それをごちゃ混ぜにしてしまうと、コーヒーの証は役に立ちません。


●コーヒーの成分は、どれも必ず苦いか辛い。もっとひどいと渋くなる。もっともっとひどい味を雑味と呼ぶが、雑味も苦味の1種である。


 ここで是非思い出してください。「良薬は口に苦し」と言うではありませんか!子供は我慢しなければ漢方薬を飲めませんが、大人になれば「好きな苦味は良薬である」ことに気づくのです。それがその人の「証(性)の自覚」というものです。


 さて私自身はと言いますと、そこそこ苦いコーヒーが好きになった程度です。でも風邪を引いたときにイタリアンのコーヒーをブラックで飲むことはできません。それどころか、元気な時でも、普通の喫茶店のアイスコーヒーは不味いと感じてしまいます。決して身体に良いとは思いません。


最後に、


☆☆☆熱中症の予防に良いアイスコーヒーとは・・・?

やや深煎りの豆を普通にドリップで淹れて、ただしお湯の量は半分にして、あとはかき氷で薄めて飲む。


 このアイスコーヒーの証は、夏バテ気味の筆者にピッタリです。


 自分で淹れるのが面倒な人には、珈琲屋バッハの水出しアイスコーヒーがいいですよ。



勝手にPRしています。


(第102話 完)


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日々店頭に立つ薬剤師には「患者説明の豊富なヒント」、製薬会社のMRには「社会学的くすりのエビデンス」、アカデミアの研究者には「目から鱗の研究テーマ」、そして一般消費者には「確かな情報」を提供します。NHKスペシャルで大反響のレスベラトロールなど、ほんの一部に過ぎません。