シリーズ『くすりになったコーヒー』


 前回に引き続き「栄養成分ブレンドコーヒー」の話です。


 市販の焙煎コーヒー豆は、浅煎りから深煎りになるにつれて、黄色→茶色→褐色→黒褐色というように変化します(図の上段を参照)。ですから町のコーヒー店の品揃えを見てみますと、左側の浅煎り豆から右側の深煎り豆に向かって規則正しく整然と並んで客の目を引きつけます。



 次に、深煎り豆と浅煎り豆とでは、成分が全然違っています(前回を参照)。そこで深煎りと浅煎りを1:1でブレンドすれば、成分の数は大雑把に2倍となり、そのかわり各成分の量は半分に減ってしまいます。変わらないのはカフェインだけです。そのため、カフェインの量がその他の成分に比べて2倍になってしまいます。


 カフェインには病気予防効果がありますから、カフェインが減らないのは悪いことではありません。しかし、他の成分が減ってしまって、カフェインだけ多いのは良いこととは言えません。


 カフェインだけが多くなるのを防ぐには、カフェインの少ない天然豆か、またはデカフェタイプに加工した生豆を使えばよいはずです。そして浅煎りと深煎りを1:1でブレンドしたコーヒーを飲めば、カフェインを増やさずにコーヒーのすべての成分を飲むことになるのです。


●「栄養成分ブレンドコーヒー」のブレンド比は、予防したい病気に合わせて調節できる(図の下段を参照)。


 疫学調査によれば、「毎日2杯以上のコーヒーを飲めば病気のリスクが減る」という情報が沢山あります。また、疫学調査ではコーヒーの種類を区別していません。効くコーヒーも効かないコーヒーもどれも“一緒くた”にして調べた結果が“効く”ということなのです。ですから「栄養成分ブレンドコーヒー」のように、すべての成分を含んでいるコーヒーを飲めば“もっと効く”はずです。例えば、


●「食後の高血糖を防ぐ」ブレンド比は、浅煎り豆:深煎り豆=7:3程度がよい。


 このコーヒーは図の下段のコーヒーのことで、普通のコーヒー店には並んでいません。でもこれ1杯に、クロロゲン酸(第58話を参照)の薬用量が確実に含まれていますし、その他の有効成分もそれなりに含まれているのです。

詳しくは「コーヒーの処方箋」をご覧ください(詳しくは → こちら


(第95話 完)


栄養成分研究家 岡希太郎による
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