シリーズ『くすりになったコーヒー』
慶応大・薬学部の田村悦臣教授は数少ないコーヒー研究家の一人です。「コーヒーが女性ホルモンの関係で大腸がんを予防するメカニズム」を研究しているとのことです(詳しくは → こちら )。
コーヒーから、コーヒーより効く新薬ができる日が来るかもしれません。でも、それまでは、とりあえずコーヒー飲んで大腸がんを予防しましょう。特に女性の方は必見ですよ!
●もともと日本人に大腸癌は少なかった。
戦後のフライパン運動で、日本人の食卓に目玉焼きとハンバーグステーキが増えました。油を使うフライパン料理は、明治維新のすき焼きブームのようでしたが、不幸なことに欧米並みに大腸癌患者が増えてしまいました。
日本人に大腸癌が増えたのは、厚生省(現厚労省)お勧めのフライパン運動のやり過ぎのせいでした。家庭にテレビが普及すると、コマーシャルタイムはほぼフライパンに占領されました。「タンパク質が足りないよっ!」と叫んで廻る厚生省お墨付きのキッチンカーが、日本全国に出没したのです。
「1日3000カロリー食べて働けっ!」などと言ってエコノミーアニマルに檄を飛ばしたのも霞が関のお役所でした。ですから厚生省だけが悪者と言うわけではなかったのです・・・が、今や厚労省と改名したので、やっぱり責任とって貰わないと困ります。
●長妻厚労大臣は直ぐにでも全日本コーヒー協会に厚労大臣杯を授与すべきです。
名目は、「コーヒーのお陰で、女性(女性に限る)の大腸がんリスクが減った」からです。さらに詳しく見てみますと、大腸癌のなかでも結腸にできる浸潤結腸癌が特異的に予防されているのです(詳しくは → こちら )。
図をご覧ください。前回紹介した子宮体癌には少しだけ及びませんが、誰もが飲んでいる普通のコーヒーの効き目とは思えない、素晴らしいグラフです。
●女性が浸潤結腸癌になるリスクは、コーヒーを1日3杯飲めば44%まで下がる。
それでもまだリスクが残っています。どうすれば0にできるのか? 別の疫学調査を参考にして、現時点での最善の方法をまとめます。
【女性が浸潤結腸癌を予防する最善策】
□1□ 日頃から身体を動かす。週に1回は2時間の運動をする。駅の階段は歩いて登る。
□2□ 肉食を減らして青色魚にする。黒鮪のトロが一番よいが、ちょっと無理という人は、これから値下がりする秋刀魚に期待しましょう。
□3□ 野菜を多く食べる。野菜なら何でもいいが、キノコが好きならもっと効く。松茸よりエノキが効くよ!
□4□ 食後は必ずコーヒーを飲む(2回でもいい。コーヒー嫌いの人は自分の町の美味しいコーヒー屋を見つけて飲み直してみる)。
これでほぼ完璧です。
(第70話 完)