シリーズ『くすりになったコーヒー』



 景気が悪い時代には鬱病と自殺が目立ちます。今もそういう時代です。そういう時代を乗り切ろうとでもいうように、日本は世界一の抗欝薬市場になりました。それでも自殺者は後を絶ちません(詳しくは → こちら )。


●自殺の予防は、第1に心のケア、第2に正しい抗欝薬治療、そして第3にコーヒーを飲むこと。


 コーヒーが鬱病を予防して自殺者を減らしているという調査結果が発表されています(詳しくは → こちら )。


●カフェイン+クロロゲン酸が効いている。

 この話は100%確立されたわけではありませんが、かなり信頼できる証拠があります。もしこの話が正しければ、浅く煎ったコーヒーのほうがよりよく効くはずです・・・浅煎りコーヒーにはカフェインの他にクロロゲン酸(第22話を参照)がたっぷり入っているので、相乗作用(1+1≫2の作用)が出るのです(詳しくは → こちら )。
(詳しくは → とこちら )。


 理屈は兎も角、コーヒーを飲んだときのリラックス効果を疑う人は居ません。コーヒーを飲んで欝が直ぐ治るわけではありませんが、自殺思考を食い止める効果は期待できそうな気がします。ですから、気分が優れず死んだほうがましだとちょっとでも思ったら、取り敢えず美味しいコーヒーを飲んで、今日のこと明日のことを思ってみるのがいいですよ。


●カフェインは前向き思考の特効薬だから、「明日もコーヒーを飲みたい」と思ったらもう大丈夫。


 カフェインをたくさん含んだコーヒーを飲んで、前向き思考になることは、誰でもやれば直ぐできる、欝に負けない方法です。駄目でもともとと思って飲んでみる価値はありそうです。


●「欝かな?」と感じたら、コーヒーを飲もう。


 鬱病の人がコーヒーを飲んで悪くなるという話は聞きません。心臓病や癌の人が「コーヒーを飲みたい」と医者に聞くと、半分ぐらいの医者は「刺激になるから止めなさい」と言うでしょう。それが間違いだと知っていても、家族からも言われたら、飲む気がしなくなってしまいます。でも、鬱病は違うのです。


●鬱病の人に「コーヒーは悪いから止めなさい」という医者はほとんど居ません。「興奮してアドレナリンが出るからダメ」などという話は大ウソです。


 もう1つ欝によい食べ物は野菜・果物で、キノコと大豆製品もお勧めです(詳しくは → こちら )。
  

 逆に肉食は欝を高じさせるという論文があります。タンパク質由来のトリプトファンやチロシンなどのアミノ酸が、自律神経バランスを崩して欝状態を作るからです。餌にありついて満腹になったライオンが、「寝てばかりいるのは欝のせい」との説もあります。男性は、肉を減らして魚を食べれば欝になりにくいとも言われます(詳しくは → こちら )。


【欝によい食生活の勧め】


□1□ 欝のときは草食系になるとよい。豆腐や納豆など大豆製品と、キノコと野菜・果物を食べる。カルシウムの多い牛乳を飲み、肉は少なくして青色魚を増やす(詳しくは → こちら )。


□2□ そして、食後には必ずコーヒーを飲む。


【医師・薬剤師の方へ】青魚の油を薬にしたエパデール(持田製薬)・・・この秋にはスイッチOTC化が期待されています(詳しくは → こちら )。


(第65話 完)


栄養成分研究家 岡希太郎による
『コーヒーを科学するシリーズ』を購入される方は下部のバナーからどうぞ