シリーズ『くすりになったコーヒー』
子供の成長にとって、骨を育てるカルシウムは欠かせません。そんなこと誰でも知っています。意外に知られていないのは、大人でも身体中の細胞がカルシウムを必要としている、ということ。
●中年を過ぎてカルシウムが不足すると、身体は骨を溶かしはじめる。
現代人は、カルシウムが不足して、「骨の貯金」を取り崩す年になっても、まだ長生きするので、生きる矛盾を抱えてしまうのです。
【カルシウムの矛盾とは】昔の人はカルシウムが不足する年になると、間もなく寿命を迎えました。ですから、骨を溶かすという身体の仕組みが、長く働き続けることはなかったし、溶かすことを途中で止める必要もなかったのです。ところが現代人は、余りにも急に寿命が伸びたため、「止める仕組み」ができていません。長生きすると、骨を溶かす仕組みだけが際限なく働き続けてしまいます。その結果、人生の最後の大舞台で、僅かばかりの白い灰しか残さない人がどんどん増えているのです。
これは実に恐ろしい話です。どうしたら防げるのでしょうか? 残念ながら、カルシウムを沢山食べるということ以外、よい方法は見つかっていません。
●カルシウム不足の人が罹りやすい病気:高血圧、動脈硬化、糖尿病、脳神経障害、悪性腫瘍、関節炎、骨粗鬆症・・・(詳しくは → こちら)。
●カルシウム不足でパラドックス(第38話参照)を起こしている人は、カフェインの摂り過ぎに気をつけましょう。
カルシウム不足が高じて、「骨の貯金」に手を出し始めると、身体中の細胞に厄介なことが起こります。骨から必要以上に溶け出したカルシウムが、細胞の周りを妖怪のようにうろついて、ちょっとした刺激で中へ入ってくるのです。すると、細胞のなかにあるカルシウム・ダムが決壊して、細胞をカルシウムの洪水が襲います。
●カフェインは、カルシウム・ダムを決壊させる。
健康な人をもっと健康にする仕組みが、カルシウム・パラドックスの人には取り返しのつかない結果を招きます。コーヒーを飲むと、気分が悪くなったり、頭痛がする人、止めた方が無難です。
程度の差はあるとしても、ほとんどの日本人は「カルシウム不足」です。カルシウムを豊富に含む日常食品は「牛乳」、次は「乳製品」。だから、カルシウムが気になる人の「薬食同源」は、「牛乳」なのです。
フランス人は牛乳たっぷりのカフェオレが大好き、イタリア人ならカプチーノ。日本でもこの季節、木村拓哉さん演じるTV・CMでお馴染みです。そこで、カルシウムが気になる人には、
☆☆☆ 「一杯のコーヒー」+「たっぷり牛乳」=「カルシウム不足克服コーヒー」
ただし、妊娠中の方と骨粗鬆症の方はご遠慮ください(もっと知りたい人は → こちら)。
●「カフェインは諸刃の剣、牛乳飲むこと忘れるな」
(第39話 完)