シリーズ『くすりになったコーヒー』


「コーヒーは肝臓病予防の特効薬」と思えるほど肝臓を護ってくれます。疫学調査の対象も、慢性肝炎から肝癌までほぼ網羅しています。主な肝臓病で報告されていないのは「B型肝炎」でした。しかしつい最近になって、B型肝炎患者とコーヒー習慣の関係が、初めて論文になりました。


●B型肝炎患者が毎日コーヒーを飲んでいると、肝機能検査値が悪化することはなく、繊維化の速度が遅くなります(詳しくは → こちら)。


 この論文によりますと、コーヒーを飲まない人の検査値ASTの5年間変化率(上昇率)を1.00とした場合、1週間に1-3日はコーヒーを飲むという人の変化率は0.80、また4-7日は飲むという人の変化率は0.30まで低下していました。この数字は医薬品に勝るとも劣らないコーヒーの効果を示しています。更にコーヒーを飲む人の繊維化スコアについては、それぞれ0.69と0.30という、信じ難いほどの低値でした。


 コーヒーがB型肝炎について「信じ難いほどの効果」と聞いて思い出すのは、国立がん研究センターが2005年に発表したデータです。コーヒーを飲む人の肝発癌リスクは、飲まない人の24%まで低下していたのです。その後、世界中からそっくりなデータが出てきて、この「信じ難い効果」が専門家にも受け入れられるようになったのです(詳しくは → こちら)。


 B型肝炎ウイルス以外にも慢性肝炎の原因は色々ありますが、コーヒーが病気の進行を遅らせたり癌化リスクを下げることは、最早医学の常識となりつつあります。下の図をご覧ください。




 まず、正常な肝臓が向こう1年間に突然癌化することはありません。慢性肝炎が年月を経て癌化するのです。最も多い肝臓癌はC型肝炎に由来するもので、全体の80%以上を占めています。そこで、C型肝炎ウイルスが原因の慢性肝炎では、薬を使ってウイルスを排除する治療が行われています。ここ数年の進歩には目を見張るものがありますが、大きな問題として「高価格」があるのです。


●C型肝炎の抗ウイルス薬の価格は異常に高いので医療費全体を圧迫しかねない。


 おまけにC型に効く薬がB型に効くとは限りません。それはそれで新たに開発が必要で、仮に成功すれば更なる高価格が予測されているのです。


●毎日コーヒーを飲む習慣がB型、C型肝炎の繊維化を防ぎ発癌を抑制する医学を、厚労省が認知するのを待つのではなく、「今は健康」を幸いと思ってコーヒーを飲むべき時が来た。


 皆さん、1日3杯ですぞ‼ そうすれば肝臓病だけでなく認知症だって少しは遅れてくれるはずです。


(第359話 完)


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