シリーズ『くすりになったコーヒー』


 新型フルーがそうであるように、予防医学をもっと大切にしようとの考えから、「医食同源」とか「薬食同源」とか四文字熟語が使われます。昔の首相が言いました、


●「言語明瞭にして意味不明」


 そうです、何をどうしたらよいのか、わからないし、役に立たないのです。海の向こうではどうでしょうか?


●“Prevention is better than cure”


 そうです、「治療より予防」ということで、ずっとわかりやすいし、安くすみそうだし、医療費問題も解決しそうです。


 これとよく似た日本の古い諺があります。


●「薬より養生」


 辞書によれば、養生(ようじょう)とはトラブルを事前に防ぐという意味で、普段から健康に気を配ることが大事。病気が治ったときにも、ぶり返さないよう気をつけるという意味です。猛暑がおさまった今の季節、養生しないと体調を崩したりします。


●「秋冷の候・・・中略・・・養生してお過ごしください」。こんな便りには、人様の健康への気配りが伺えて、季節の決まり文句になっています。


 さて、それでも病気になって熱が出たら、お医者さんへ行って薬を出してもらいます。「熱冷まし」が出たとしましょう。くすりを飲んで早目に寝たのですが、ふと目覚めると気持ちが悪〜い。うとうとしたまま朝を迎え、再びお医者さんへ行ってみると、「熱冷まし」の量が増え、「胃薬」と「鎮静薬」が追加。翌日には「抗生物質」の出番となり、「整腸薬」と「ビタミン剤」も加わって、赤だの黄色だの6種類も飲む羽目に!


 でもご安心ください。急性疾患の話ですから、長くても1週間あれば回復します。よく「馬鹿は風邪をひかない」といいますが、裏を返せば「誰でも風邪をひく」のです。問題は慢性疾患の場合であって、特に生活習慣病が問題です。慢性疾患の場合は、「薬より養生」に更なる具体性が出てきます。


■運動すれば太らない。


■食べる量を減らせば糖尿病にならない。


■ストレスを無くせば高血圧は治る。


・・・であるのですが、『言うのは簡単、でも絶対に守れない』ことばかり・・・。


 そこで登場するのが「養生ツール」。必要なときに、何時でも何処でも手に入って、決して高価ではなく、癖になってしまう食べもの。そんなものがあるなら毎日食べられる・・・そうです、正にその通りで、それこそ「薬食同源」の奥義です。薬と同じで、毎日でなければ効かないのです。


☆☆☆毎日コーヒーを飲めば生活習慣病を予防できる。
 


 大袈裟なようですが、コーヒーは「養生ツール」の1つです。それもかなり強力です。医薬品のように、国が効果を認めたというようなものではありませんが、多くの学術研究で証明されて、学会が認めているのです。


 それどころか、医薬品のレベルでも、コーヒー成分が着々と成果を上げつつあります。前回は新型インフルエンザを紹介しましたが、今日は癌について簡単に紹介しましょう。


●カフェインは、10代後半に発症する癌・骨肉腫の治療に有効


 金沢大学医学部整形外科では、治りにくい骨肉腫の抗癌剤治療にカフェインを使い、治療成績を大幅に改善しました。最近は薬剤師も加わって、カフェインの血中濃度をモニターしながら治療しているそうです(詳しくは → こちら )。


 カフェインには、医薬品添付文書に書かれていない優れた薬効が沢山あります。次回からのカフェインシリーズをお楽しみに(予習に最適! → カフェイン もうドーピングなどとはいわせない )。


☆☆☆「カフェインは薬食同源の身近なツール・・・使わなければ損をする」(こちらも参照


(第35話 完)



栄養成分研究家 岡希太郎による
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