シリーズ『くすりになったコーヒー』


 夏のストレス解消とダイエットには“バニロイド”がよい。


“バニロイド”とは、高品質バニラの「バニリン」に似ている成分のこと。前回までの「正露丸」「バニラ」「今冶水」「生姜・ジンジャー」「珈琲」「米ぬか」「唐辛子」、さらには「胡椒」「八角」にも共通する成分です。“バニロイド”は食欲を刺激し、エネルギー代謝を活性化するので、夏バテ予防に最適です。もちろんストレス解消効果もバッチリ。


 もう1つ忘れられないのは、昭和の夏バテ予防特効薬“クエン酸”です。


 街の薬剤師が作ってくれる夏バテ防止飲料“日本薬局方クエン酸リモナーデ”は、おしゃれな夏の飲み物でした。戦後、レモンが手軽に手に入るようになって、家でも作れるようになりました。でも今はどうでしょうか・・・?


●八百屋のレモンよりボトル入りシトラス飲料の方が安くてよく売れて、ましてや薬局に“クエン酸リモナーデ”を買いに来る客は居なくなった。


●それでも猛暑の日には全国で100人ぐらいの熱中症患者が病院に運ばれ、重症だと手遅れになる。


●誰かが“クエン酸リモナーデ”を今風にアレンジすれば、子供も大人も喜んで飲む。


 そこで思いつくのは“クエン酸リモナーデ+バニロイド”ということで、ここでは“コーヒー生豆”をブレンドします。


☆☆☆『クエン酸コーヒーリモナーデ』が夏バテを防ぐ。


【作り方】


□1□ まずコーヒー生豆エキスを作る:


ネットで生豆を買う → 鍋に生豆100グラムを入れて軽く水洗いする → ざるで水をきる → 再度鍋に入れ水1リットルを加える → 冷蔵庫で1晩寝かす → 弱火で15分ほど煮立てる → 小麦色のエキスをペットボトルに入れて冷蔵庫で保管する(注:焙煎コーヒーの味はしません)。


□2□ レモンと砂糖を加える:


コップ7分目のコーヒー生豆エキスに、レモン半分の絞り汁とお好み量の砂糖を加えて、『クエン酸コーヒーリモナーデ』の出来上がり。日本薬局方・単シロップならすぐ溶けます。


□3□ オプション:


(1)酸味が不足または健康目的でもっとクエン酸が欲しければ、日本薬局方・クエン酸を1グラム(コーヒースプーンに1杯)加えるとよい。薬局で薬剤師に相談すれば買うことができます。


(2)カクテルにするには、日本薬局方・エタノールを1ミリリットル(コーヒースプーンに1杯)加えます。


(3)コーヒー以外の“バニロイド”をご所望なら、好みに応じてお試しください。それぞれ個性を楽しめます。唐辛子はきつ過ぎですが、ジンジャーは“適”。モカコーヒーが好きならば“ごく浅煎の焙煎コーヒー”がお勧め。正露丸は絶対に止めておきましょう。


【効能】暑さ凌ぎに抜群! バニロイド(フェルラ酸)によるストレス解消とダイエット効果


【注意】


●コーヒー豆にはカフェインも含まれていますから、寝がけに飲むと寝つけなくなります。


●ネット販売のクエン酸には、工業用や添加物を含むものもあり、要注意。


●クエン酸ナトリウムは無効です。


【薬剤師の方へ】


□もしお客さんにクエン酸を注文されたら相談に乗ってあげましょう。


□クエン酸ナトリウムは使わない方が無難です。


 さて、効き目は如何でしたか?ご意見はこちら → oka@toyaku.ac.jp


(第29話 完)


栄養成分研究家 岡希太郎による
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