『旅するコーヒーの木:コーヒーベルトを巡る旅』


 コーヒーの産地を地図上に並べていくと赤道を中心に、北回帰線と南回帰線の間の地域にあたる場所が地球をぐるりと1周します。これが「コーヒーベルト」です。


 東京ミッドタウンにあるサントリー美術館で開催(3月16日〜25日)の「旅するコーヒーの木 写真家 星野尚彦、コーヒーベルトを巡る旅〜エチオピア・ブラジル・グアテマラ〜」に行ってきました。


「コーヒーベルトを巡る旅」は、コーヒーベルトに住む人々の姿、生活環境、風景や文化などの写真示です。


 印象的だったのは、エチオピア南東部アビシニア高原パレマウンテンの農村の人々の写真でした。写っているものすべてがコーヒー色の茶褐色、乾いている感じで、人々は無表情でどこか寂しげでした。ところが、積み上げられて山になっている膨大な数のコーヒー豆をハンドピックしている写真の女性たちは、とても表情豊かで、屈託のない笑顔とコーヒー色の茶色い手があったことがとても印象的でした。私たちにとっても生活の一部となっているコーヒーは、彼らにとっては衣・食・住のすべてなのです。


「珈琲一杯の薬理学 第1章 珈琲一杯の薬史学」では、世界のコーヒー産地が、原生地のエチオピアとアラビア半島以外に、東南アジア、北アメリカ、中南米、中央アフリカへと広がっていったコーヒーベルトの経緯について、詳しく解説しています。


 ぐるりと地球を巡るコーヒーベルト地帯のあちこちで生産されるようになったコーヒーは、私たちの生活の中では存在感を忘れてしまうほど身近な存在です。日ごろ手軽に飲んでいるコーヒーも、伝播や歴史など、そして「栄養成分ブレンドコーヒー」があるということを知り、コーヒーの奥深さを味わいながら飲むほうが、何も知らずに飲んでいるより、ずっとおいしい。会場内で飲んだ「レインボーマウンテンブレンド」は、ひと味もふた味も違ってたしなむことができました。


いつもの一杯に知識の深みを加えてみませんか?(野田)