シリーズ『くすりになったコーヒー』


 1杯のコーヒーに更なる美味しさを求めてSCAJ2019が開催されました。どんなアイディアがあるのか見てきました。

 


 広い会場に入るや否や、パッと目を引いたのは中国雲南省のでっかい垂れ幕でした。中国から来た珈琲女子が淹れてくれた浅煎りと深煎りはどちらも十分薫り高い上品でした(写真左)。次に伺ったのが日本ネルドリップ珈琲普及協会のブース(写真右)。



 ここで店長が淹れてくれたのは、ガッツリ味の深煎り豆をネルで淹れた本格派の1杯。さてもさてもコーヒーという飲み物は、一見同じように見える豆でも、淹れる人、淹れる道具によって千差万別、飲む人の時と場合によっても千変万化、二度と同じものには出会えないかも知れません。


 今はまだ家で淹れるコーヒーよりカフェや珈琲店で飲む方が美味しいかも知れません。それでもこんな道具があるなら家で淹れてみようかと言いたそうな展示もありました。写真左は従来の手網を自動化したようなものですが、何と米国製。最大300-400グラムは煎れるそうで、お値段は6万7千円。「我が家でコーヒーを」と思っている人には手が届く範囲かもですね。そして右側は大手家電メーカー・パナソニックの焙煎器で、今はまだ自家焙煎店が大型焙煎機で100キロ単位を焼く前に使う試焙煎器だそうです。値段もお高く数十万円、おうちカフェにはもったいないですが、皆が使うようになればお値段も下がるに違いありません。


  

 さて、毎日コーヒーを飲んで元気に長生きして、最後のそのときはPPKで逝きたいという方々にとって、家でコーヒーを焙煎することが、ボケ防止の特効薬になるとのお話をご存知ですか?

 

●ボケ防止には手焙煎

 

 美味しい豆を煎るときに、すべてやってくれる焙煎器をじっと眺めているよりも、経験と腕がものを言う手網焙煎の方が予防医療に貢献しそうだと思えるのです。以下はSCAJに参加して持ち帰ってきたまとめです。

 

●「デュアルタスク」をこなしていると、脳の前頭前野だけでなく、頭頂の視空間機能も鍛えます(詳しくは → こちら )。

 

 運動と併せて、何か別の認知的な課題を同時にこなすことを「デュアルタスク」というのです。例えば、簡単な計算をしながらウオーキングするとしたら、「100-7=93」「93-7=86」「86-7=79」・・・・と、頭の中で知的課題をこなしながらウオーキングするのです。しかし、これは直ぐに馬鹿馬鹿しくなってしまいます。そこで筆者はSCAJで、手網を使うコーヒー豆の手焙煎に気づきました。

 

●コーヒー豆の手焙煎はデュアルタスクだ。

 

 手網を使ってコーヒー豆を煎る。この単純な作業が実は複雑なアルツハイマー病の予防に繋がると筆者は考えています。まずは手網焙煎を紹介しましょう。今回のSCAJにも参加していた日本焙煎技術普及協会が日頃から手網焙煎講習会を開いています(動画は→ こちら )。

 

 次に、手焙煎がアルツハイマー病の予防に繋がる根拠について考えます。例えば米国カリフォルニアにあるHelpGide.Org社が「アルツハイマー病予防6本の柱」を勧めています。「脳を支える6本の柱」は互いに連携し合って認知機能の低下を予防しているとのことです。6本のどれが欠けて予防効果は不完全になってしまいます(詳しくは → こちら)。



 では、手網焙煎の作業の何処がどのように6本の柱に通じるのでしょうか?筆者の考えを箇条書きにしてみます。

 

1.軽い運動・・・手網を最長15分間振り続ける軽い運動

 

2.社会とのふれ合い・・・コーヒーが他人との会話の場を和ませる

 

3.健康な食事・・・食事から摂る栄養素の役割をコーヒーが更に強めてくれる

 

4.知的好奇心・・・味と香りを造るノウハウを考えながら実践する

 

5.睡眠の質・・・昼間にコーヒーを飲むことで夜はよく眠れるようになる

 

6.ストレスコントロール・・・コーヒーは気分を和らげてストレスを減らす効果をもつ

  

 以上、今回のSCAJでは、次世代のコーヒー・イノベイションを予測してみました。当たるも八卦、当たらぬも八卦・・・。

 

(第390話 完)


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