シリーズ『くすりになったコーヒー』


 「健康ママ(Holistic Mama)」を自称するDr. Elisa Songは、「健康な子供、幸せな子供」のキャッチフレーズでホームページを公開しています(詳しくは → こちら )。新型コロナウイルスでは、「私のボディベア」のブログを書いて、マスクをするなど子供を感染から守る情報提供をしています(詳しくは → こちら )。



 「子供は何故COVID-19にかからないのか、かかっても軽く済むのは何故?」の疑問に答える記事が示唆に富んでいます。彼女の記事によれば、新型ウイルスは細胞膜のACE2を受容体として感染するのですが、子供の血には、溶けているsACE2があって、これをウイルスが細胞への入り口と勘違いして結合するのです。すると今度はマクロファージがそれを異物として捕獲して、消化分解してなくなるのです。血に溶けているACE2は、膜についている受容体のデコイであって、これを多く持っている子供は感染しても軽く済むことが多いのに、あまり持っていない大人や高齢者は沢山のウイルスに感染して重症化してしまいます。


 そこでDr. Elisa Songのお勧めは「知識は力。sACE2を増やす生活が大事です」と言って、5項目を挙げています。


適度な有酸素運動

快適な睡眠でメラトニンを増やす

クルクミン

ビタミンD

ビタミンA


●これら5項目の出展を調べてみたら、どれもが確かな情報と分かりました。


さらに調査で分かったことは、他にもいくつかあるということ、特にクルクミンはウコンのポリフェノールですが、ウコンに限らず一般的にポリフェノールがsACE2を増やすとの論文が複数見つかりました。著者にとって嬉しいことに「コーヒーのポリフェノール」も見つかりましたし、ナイアシンについては、長寿遺伝子が絡む複雑なメカニズムであることも分かっているようです(詳しくは → こちら )。


●sACE2は、膜結合型ACE2が酵素ADAM-17に切られて増える(詳しくは → こちら )。


 図1に描いてみましたので、ご覧ください。



 ならば切断酵素ADAM-17を増やせば、sACE2も増えるはず。さらに調べてみました。ビタミンAはACE2を増やすものの(詳しくは → こちら )、そのメカニズムは不明でした。活性酸素はADAM-17を増やすようで(詳しくは → こちら )、このことから有酸素運動がsACE2を増やす理由が説明できます。睡眠中に脳から分泌されるメラトニンもADAM-17を増やします(詳しくは → こちら )。


●Dr. Elisa Songの5項目をさらに整理


 すると新型コロナを捕らえるデコイ受容体を増やす生活習慣と食物成分を、表1のような3項目にまとめることができました。



 コーヒー色で示したのは、コーヒー関連の項目です。表1の中身を実行して、大人の血液が子供の血液のように、ウイルスを寄せつけない性質をもったら、そんな素晴らしいことはありません。Dr. Elisa Songが言うように、「知識は力」なのです。


 では最後に、もう1度図1をご覧ください。本来は血圧をコントロールするACE2酵素が、よりによってパンデミックウイルスの受容体になるなどとは、神のみぞ知る不思議な現実ですが、子供の血の中に解決のヒントがあるなんて、神様だって想定外のことかも知れません。


(第416話 完)


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