シリーズ『くすりになったコーヒー』
●新年おめでとうございます!
年頭に相応しいビッグな論文を紹介します。地中海食でも日本食でも、あるいは肉食でも菜食でも、食後にコーヒーを飲みさえすれば「呆けずに暮らせる」。嘘だと思ったら最後まで読んでください。
●研究したのは国立長寿研究センター!
地中海食と健康の関係は多くの研究で証明されています。加えてコーヒーを飲めば更なる健康効果も得られるとの論文もあります。コーヒーを飲んでいる54歳以上の集団では、死亡リスクが低いのです(詳しくは → こちら )。しかし、残念ながら日本食についてこういう研究はありませんでした。そこで日本の国立研究所が重い腰を持ち上げたというわけです。
●日本食は本当にボケに良いのか?(詳しくは → こちら )。
やや少ないのですが、85名の被験者(平均74.6歳、61%女性)を対象に、実際に食べている食事内容と量と質を反映する日本食指数(JDI:健康への正または負の寄与を簡単に数値化したもの)を定義して3群に層別しました(表)。JDI9は点数化すべき9つの飲食物を含む内容で、JDI12とrJDI12は共に12種類の飲食物を点数化する日本食です。
JDI9は古いタイプの日本食で、JDI12は現在の日本食としての内容をリストアップしたものです。赤字は量が増えると健康に良くないとされるもので、食べる量が被験者全体の平均値より少なければ1点とします。青字は健康に良いとされているもので、平均値より多ければ1点として計算します。3つ目のrJDI12は、前2つのコーヒーが「健康を損なうもの」であるのに対して、近年のコーヒー研究の成果を取り入れて「コーヒーは健康に良いもの」として計算する被験者群です。
●被験者ごとにJDIを点数化して、点数の低い方から3分位(L,M,H)に層別した。
3分位(L,M,H)ごとに、認知機能の正常な人と認知症の人を合わせて100%とし、認知症の人の割合をグラフに描きました(図)。
横軸は被験者のJDIスコア3分位、縦軸は認知症被験者の割合。JDI12とrJDI12の違いは、コーヒーの健康への寄与を「正と見るか負と見るか」の違いです。コーヒーの寄与を正(健康に良い)と見るrJDI12では、M群の認知症の割合がJDI12群の半分以下に減っています(図のコーヒーの矢印を参照)。
●コーヒーを良いものとみると、同じ日本食でも健康への良い影響が強くなる。
この傾向は、冒頭に書いた地中海食で見られたものです。それが日本食でも見られるということは、もしかすると肉食でも菜食でも、健康に悪いと言われるものを避けて、食べ過ぎに気をつけてさえいれば、コーヒーを飲むことで疾患リスクや死亡リスクが軽減することを示唆しています。
●何故そうなるかという科学的説明は今後の課題
まとめとして、「コーヒーを飲まない人はある意味で不幸な人」かも知れません。明確な理由は解りませんが、世界中のどの国の研究でも、コーヒーは体に良いという結果が得られるのです。その国の文化、宗教、経済力、食生活等々によらず、コーヒーは体に良いものという結果になるのです。
●これまでコーヒーを飲めなかった人でも飲めるコーヒーを開発する。
医薬経済社の「希太郎ブレンド」はそういう目的で開発された世界初のコーヒーなのです。
(第461話 完)