シリーズ『くすりになったコーヒー』


 新年おめでとうございます。


 民間会社が一般人の宇宙旅行を計画しています。昨年、ホリエモンさんのインターステラテクノロジズ株式会社の観測ロケット「MOMO」打ち上げも実行されました(詳しくは → こちら)。


 今期の宇宙飛行士・金井宣茂さんのニュースを見ていたら、向こう半年間の宇宙実験の話をしていました。色々ある中で、筆者が注目した実験は・・・


●宇宙線や無重力の影響による宇宙ストレスから身体を守るため、細胞転写因子Nrf2が有効か否かのマウス実験。


 宇宙旅行を楽しむのは健康人だけですが、一度宇宙へ飛び出せば、宇宙ストレスでたちまち病魔が襲ってきます。その時どうやって体を護ればよいのでしょうか?実験の中身を見てみますと、
『Nrf2というタンパク質は、ストレスを和らげる抗酸化酵素など複数のタンパク質を作って身体を守る。今回、金井さんはNrf2を体内で作れなくしたマウスと、通常のマウスを1か月間飼育して、宇宙ストレスがかかる環境でNrf2が骨・筋肉の衰えなどに有効に働くか実験をする。体のダメージを和らげることがわかれば、Nrf2を活性化させる薬でリスクを減らすことができる(以上、スポンサー会社のHPより)』というものです。




 ここで問題があります。実は過去に行われた実験で、宇宙ストレスの大きさが解っているのです(上図を参照)。このストレスが細胞に溜まると病気、特に心血管系の障害を起こす危険が高まります。これをどうやって解決するのか?その成否によって、民間人の宇宙旅行の人気が左右されそうです。


 ここで筆者は、解決策の有望な候補がコーヒーであると信じていますが、上記の実験を企画した人は残念ながら「コーヒーと健康」の知識を持ち合わせていないようです。


●コーヒーを飲む習慣がNrf2を活性化して、複数の抗酸化性タンパク質の活性を高めることは既に知られている事実である(詳しくは → こちら)。


 実験の企画者はこの事実を知らないので、『実験が成功すれば、Nrf2を活性化させる薬でリスクを減らすことができる』と信じて、儲け話に期待したのだと思われます。


 ということですから、近い将来に宇宙旅行を楽しもうと企画して、ホリエモンさんの会社に登録した方々は、まだ開発されていない新薬とコーヒーのどっちを飲みたいでしょうか?どっちを飲みたいにせよ、両方飲めば更に効きそうですから、両方とも飲むのではないでしょうか?そこで、新薬を開発する製薬会社にお願いします。


●Nrf2を活性化する新薬は、コーヒーとの飲み合わせが問題になっては成功しない。


 過去の薬の開発で、多くの事例が『生活習慣との折り合いの悪さ』が原因で、失敗に終わったことを思い出して下さい・・・そして、コーヒーが飲めないストレスは、もしかすると、宇宙ストレスに匹敵する過酷なものになるのです。


(第335話 完)


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