シリーズ『くすりになったコーヒー』


 第323話に、コーヒーとマインドフルネス瞑想を関連づけた最初の論文を紹介しました(詳しくは → こちら)。マインドフルネス瞑想とは何でしょうか?今年になってNHK・TVだけで2回の放送がありました。民間TVでは「マインドフルネスが遺伝子端末のテロメア(長寿と関連)を長く保つ」との極めて高度な内容も紹介されていました(詳しくは → こちら)。


●マインドフルネス瞑想が、寿命遺伝子テロメアを長く保つ(詳しくは → こちら)。


 遺伝子テロメアは細胞分裂の度に少しずつ短くなるのですが、マインドフルネス瞑想を繰り返していると、短くなるのに時間がかかるというのです。では、コーヒーとテロメアの関係はどうなっているのでしょうか。


●コーヒーを飲む人のテロメアは、飲まない人のテロメアより長い(詳しくは → こちら)。


 この研究はマインドフルネスとは無関係ですが、コーヒーがテロメアの長さに影響することで、マインドフルネスと関連している可能性を示唆しています。もしこれが当たっていれば、コーヒーを飲みながらマインドフルネス瞑想を行うことで、効き目が強くなるはずです。図1をご覧ください。冒頭の論文は、砂糖を入れないと飲めなかったブラックコーヒーを、マインドフルネス瞑想で攻略したとの日常生活での活用でしたが、寿命にまで影響するとなれば、無視するわけに行きません。



マインドフルネス・コーヒーは、米国メディアにも注目されました。


●1杯のコーヒーを飲みながらマインドフルネス瞑想を実践する(詳しくは → こちら)。


 2008年に米国で出版されたこの本「禅とコーヒー:マインドフル瞑想のすすめ」は、コーヒーが癌や生活習慣病の予防に役立つというエビデンスがほとんどなかった時代に書かれました。ですから「コーヒーを飲めば気持ちが落ち着くから」という単純な理由で、禅の作法にコーヒーを被せるという、ただそれだけのことだったのです。それがNYタイムズ紙の記者によって、「実に先見性に満ちた健康法である」と見直されて、同紙のコラムに紹介されたのです(詳しくは → こちら)。


 図2をご覧ください。昨年9月14日の同紙コラムを筆者が日本語にしたものです。




 このコラムが好評だったためか、今年2月1日の紙面に、「コーヒーを淹れながらの瞑想」として再度マインドフルネス・コーヒーが登場しました。これもチャドウィック著「禅とコーヒー」からの引用です(詳しくは → こちら)。図3をご覧ください。筆者の訳が名訳か迷訳かわかりませんが、詩の雰囲気だけ感じていただければ満足です。




 さて、大問題になっている認知症の治療薬も予防薬もない現在、薬に頼らない認知行動療法の1つとして、マインドフルネス・コーヒー瞑想法がさらなる進化を遂げるかも知れませんよ。


【追記】抗癌薬が効かない癌患者にマインドフルネス・コーヒーを勧めるオーストラリア・南ウエールズ州政府の試みにも注目です。


(第327話 完)


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