シリーズ『くすりになったコーヒー』


 糖尿病になると「甘いものは駄目」なので、コーヒーが好きな人はブラックを飲まなければなりません。しかし本来甘いものが好きな人にとって、ブラックコーヒーを飲むなど飛んでもないことなのです。何か上手い方法はないものでしょうか?


●砂糖を止めるなら、一気に止める方がよい(詳しくは → こちら)。


 甘いコーヒーを飲んでいた人が、思い立ったその日からブラックコーヒーを好きになる訳がありません。一気に砂糖を止めなさいなどとは、コーヒーを止めなさいと言うに等しいことなのです。それでもこの論文によりますと、ある方法を使えばそれができるというのです。その方法とは、知る人ぞ知る「マインドフルネス瞑想法」、米国生まれの新実践法で、精神科領域の認知行動療法などで成果を挙げているのだそうです。


●マインドフルネス瞑想法とは?


 直訳すれば、意識満足状態瞑想法で良いと思います。今年になってNHKがしきりに取り上げてきた話題です。まずはNHKスペシャルでの音声指導をお聞きください。文末に録音AFPが見つかります(詳しくは → こちら)。


 次に、NHKサイエンスZEROでは、出演者と一緒に画面を見ながら体験できます(詳しくは → こちら)。



 米国カリフォルニア大のオリジナル版はもっと簡単なものですが、NHKの取材先で日本風にやや複雑にアレンジしたようです。オリジナリティーを求めたのかも知れません。いずれにしましても一言で言えば、マインドフルネス瞑想法とはストレス軽減法の1つであって、ヨガ、太極拳、禅、気の呼吸法などにも通じるものがあるようです。


●マインドフルネス瞑想法で起こるストレス測定値の変化とは?


 マインドフルネス瞑想法の始まりは1980年代の米国で、精神科領域の認知行動療法の1つとして精神科医によって編み出されたものだそうです(文献は省略)。その後ストレス軽減効果を体液検査で証明する論文が色々発表されています。最も普及しているのは唾液中のストレスホルモン・コルチゾールの測定です。マインドフルネス瞑想法を実施した後の唾液を測って、コルチゾールの減少が確認されました。薬学的にも説得力のある検査法といえそうです。


 さて、話をブラックコーヒーに戻しましょう。砂糖を止めてブラックにしたら、何を瞑想して飲めばよいでしょうか?


●病気の原因はカロリーの摂り過ぎ…コーヒーの砂糖をなくせばダイエットになる…食事制限ストレスが砂糖抜きストレスで代替できる…その分美味しいものが食べられる。


 そういうマインドを瞑想しながら繰り返しインプットすることで、砂糖抜きコーヒーを我慢せず楽しく飲めるようになるのです。我慢するというストレスが「食事制限をしないでよい」という代替快楽感で消え去ってしまうらしいのです。論文に書かれた臨床試験では、砂糖を徐々に減らす群と、一気にブラックに替える群で、6ヶ月後にエンドポイントチェックして、一気群の方が「1日に飲む(飲める)ブラックコーヒーの杯数」が確実に増えていたのだそうです。


●「意志あるところに道は開ける・・・リンカーン」


(第323話 完)


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