シリーズ『くすりになったコーヒー』


●定期検診でHbA1cが高いと言われたら、コーヒーを食前から飲むのがよい。


 日本料理店へ行くと、先ずお茶が出て来ます。「お茶でもお飲みになってお待ちください」と優しく言われて、少々の空き腹は我慢が行くというものです。しかし、フレンチやイタリアンのお店で「コーヒーでもお飲みになりながらお待ちください」と言われたことはありません。


 そこで、HbA1cが高値で、糖尿病になるのが心配な人は、どんなに食事に気を使っていても、お茶と同じに「コーヒーも食前から飲む」を忘れてはいけません。ダイエット目的に、食事は野菜から食べ始める・・・のと同じです。


●コーヒーの繊維質とポリフェノールは、野菜の繊維質とポリフェノールと同じ働きをもっている。


 最近のTV料理番組では、例えば「NHK今日の料理」でも、「野菜を先に食べれば食後の高血糖を抑えられる」と話しています(詳しくは → こちら)。




 糖尿病の予防にとって最も大切な生活習慣(食習慣)は「炭水化物と脂肪を食べる前に野菜とタンパク質を食べること」なのです。こうすることで食後の高血糖が予防できて、さらにはHbA1cの検査値が高くならずに済むのです。


 図1左からわかることは、ご飯を先に食べると食後血糖値が高くなるということですし、図右からは、野菜から食べ始めると血糖値の上昇は緩やかで、食後高血糖はなくて済むということです。これにコーヒーが加わると更なる効果が得られます。


●食後の高血糖を防ぐには、食べる順番を工夫するのと、薬に頼るのとどっちが得か?


 HbA1cが高めの人は、糖尿病予備軍の人に分類されて、食後高血糖を予防する薬が好んで処方されています。お医者さんにとっては、副作用が少ない薬なので誰にでも処方箋を書きやすい薬なのです。薬理作用の分類では、アルファ・グルコシダーゼ阻害薬といって、野菜に含まれているポリフェノールに同じ作用が認められます。というよりも、野菜のポリフェノールをヒントにして開発された薬なのです。そこで出てくる問として、野菜を多く食べるか薬に頼るかの選択です。


●食生活のコントロールでどうにもならなくなったなら、それから薬に頼ればよい。


 コーヒー・ポリフェノールのクロロゲン酸は、アルファ・グルコシダーゼを阻害する代表的な植物成分です。ですからどちらを選んでも効き目の本質は同じです。


 ところで、コーヒー以外にもクロロゲン酸は広く植物界に分布しています。それなのに敢えてコーヒー・ポリフェノールと呼ばれる訳は、含有量が断凸の1位だからです。ただ問題は、焙煎によって分解消失することです。ですからクロロゲン酸を多く含むコーヒーを飲むには、浅煎りのコーヒーを選ぶ必要があるのです。深く煎った苦味の強いコーヒーが好きな人には向かないかも知れません。


 では最後に、食後高血糖を予防する食事のマナーをまとめます。



(第320話 完)




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