シリーズ『くすりになったコーヒー』
前回はポリフェノールを書きました。ポリフェノールは野菜ならどれにでも入っていますし、複数の組み合わせで抗酸化作用を発揮するので、色の違う野菜を一緒に食べるのが効果的です。TVなどで良く見る「わが社のポリフェノールは年を取ると不足します」に惑わされてはいけません。どんなポリフェノールでも、それだけでは効果が出ないのです。薬理学は抗酸化ビタミンと同じです。
お馴染みの図1を見てください。ポリフェノールを沢山食べて活性酸素を除去しても、全部がなくなるわけではありません。ですから残りの活性酸素で大なり小なり酸化障害が起こります。そして障害を受けたタンパク質や脂質膜が、細胞の酸化ストレスを生むのです。すると次の段階で、弱いながらも炎症反応が起こります。これが慢性炎症の基本です。
●慢性炎症を予防するのはカフェインである。
図2をご覧ください。左右2つの実験は、コーヒーとカフェインが炎症を予防する実験で、筆者の実績のハイライトです(出典論文は省略)。毎日コーヒーを飲む習慣が、肝臓病や2型糖尿病を予防するとの疫学データを、実験で証明するために行いました。左は致死量の膵臓毒、右は同じく致死量の肝臓毒を投与する1時間前にカフェイン(またはコーヒー)を与えておくと、マウスは死なずに元気でいるのです。
●お茶とコーヒーのカフェインは、ポリフェノールだけでは防げない慢性炎症を予防する。
最後にもう1度図1をご覧ください。自分自身に原因のある病気を未然に予防するために、私たちの祖先はお茶とコーヒーを発見しました。このどちらかを飲むことによって、私たちの祖先は酸素を吸って生きる宿命、活性酸素の毒性から体を護ってきたのです。「カフェインは体に悪いから飲まないようにしよう」という有識者の意見には、聞いたような嘘が隠れていることを見抜かなければなりません。
●コーヒーもお茶も身体にいいものなので毎日飲む習慣をつけましょう。ただし過ぎたるは及ばざるが如しですよ。
(第315話 完)
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