シリーズ『くすりになったコーヒー』


 これまでの記事で、たまたまですが「患者とコーヒー」や「患者とカフェイン」の話を書きました。そういうアーカイブスをまとめてみます。



 アーカイブスを一見して解ることは、少ないけれども、コーヒーを飲んではいけない病気があること(第10、283、302話)。逆に、コーヒーを飲むと良いことを期待できる病気の種類は、想定外に多いこと。これを悪く言えば何にでも効くインチキ薬の感がありますし、よく言えば何か共通の病気の原因に効くのかも知れません。筆者は、ここはどうしても、願いを込めてでも、後者を取りたいと思います。


 もう1つアーカイブスの中にヒントがありました。コーヒーが発症リスクを下げる病気に共通の原因があるのです。教科書によれば、病気の原因は大きく2つです。1つは外因性の原因で、病原菌、発癌物質、放射線などです。もう1つは内因性の原因で、食べ過ぎや運動不足などによる酸化ストレスが原因になっています。そして、コーヒーでリスクが下がる病気とは、酸化ストレスが原因の病気なのです。これを予防できれば糖尿病にもならないで済むし、癌にもならずに済むのです。


 再掲図ですが、我ながら上手く描けたと思っています。


●第232話 時事珈琲論(18)ポリフェノールとカフェイン




 外因性と内因性の病気では、予防法や治療法が全く異なる点に注目してください。


●外因性の病気には治療薬がある(図の青字部分)が、内因性の病気には必須栄養素以外の治療薬がない(図の緑色部分)。


 そして外因性でも内因性でも、自分で病気に気づくような自覚症状は「炎症反応」が起こった時なのです。そしてここでも外因性の強い炎症には治療薬があるのです(図の赤字の部分)が、内因性の弱い炎症には治療薬がありません・・・と言うより、弱い炎症に気づかずに何年も過ぎてしまいます。


●内因性の弱い炎症は、自覚症状を伴わないので、医者も患者(もし居れば)も治療薬が欲しいとは思わないし、薬を作る人も居なかった。


 重要なことは、弱い炎症であっても長い間放置すれば、やがて病気となって表に出てくるということです。こういう弱い炎症のことを専門用語では「慢性炎症」と呼ぶのです。


●慢性炎症のなれの果てが「生活習慣病」となって現れる。


 慢性炎症は、ゆっくりと体を蝕んで、やがて臓器・組織の難しい病気になってしまいます(図の下段の部分)。
さて、お判りでしょうか?図の緑色の部分こそが医食同源の世界です。ここに治療薬はありません。あるのはバランスの良い食生活だけです。「運動があるだろう」と言われそうですが、食事指導のない過激な運動は早死ににつながるだけです。有酸素運動のやり過ぎは、内因性の酸化障害の原因となって図の緑色の部分に当てはまってしまうのです。


 次回はこの緑色の部分に褐色で書いたポリフェノールとカフェインについて、最新情報をお届けします。


(第313話 完)


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