シリーズ『くすりになったコーヒー』
弘前大学で開催された日本コーヒー文化学会「弘前でコーヒーを楽しむ会」へ行ってきました。会場は弘大50周年記念会館でしたが、直ぐ近くに昨年オープンした弘大カフェがありました。驚いたことに、弘大カフェの入り口に、それより大きな「成田専蔵珈琲店」の看板がかかっていました(写真1.中)。この写真は昨年開店祝いのときのものだそうです(弘大HPより引用)。
さらに驚いたことには、この建物、弘前市景観重要建造物に指定されているとのことです。当初は欧米からの招聘教員の住宅だった建物が、弘大の太っ腹と言いましょうか、市内随一の珈琲店に貸与してくれたというわけです。いえ、もしかしたら、珈琲店主の成田専蔵さんの方が仕掛け人だったのかも知れません。
さて、記念会館での講演の後、弘大カフェでの交流会を楽しみました。事前に届けておいた拙著の販売はサイン会を兼ねていて、終了まで大忙しでした。ただし既に購入済みだった本を持参してのサインのおねだりも多々あって、大きなハンコ押しを手伝ってくれたスタッフさんお疲れ様でした(写真1.右)。
さてさて講演の中身です。初版「珈琲一杯の薬理学」の第一章は「珈琲一杯の薬史学」。珍しい分野でしたが、この縁で日本薬史学会に招かれて「薬としてのコーヒーの歴史」を話しました。コーヒーは発見のその瞬間から薬だったというお話でした。今回そのスライドを作成中に、自分自身でもどっぷり吸い込まれるような驚くべき薬史学の流れを発見したのです。
●演題は「津軽藩兵から学ぶ珈琲一杯の薬理学」
幕末の津軽藩兵が教えてくれた薬理学とは、世界地図に描いてようやく説明できるほどの、まるで大河ドラマのような創薬物語になったのです(写真2.左)。
●コーヒーは壊血病(=浮腫病)を予防する! その意味は「抗酸化性ビタミンACEの利用率を4〜8倍に高める」
この話を最前列で聞いてくれた弘大学長は医学部の先生だそうです(写真2.右)。そしてその先生がこのとてつもないコーヒービタミン論を頷きながら聞いてくれました。今回の弘前行は、薬としてのコーヒーに、また一歩確かな前進を約束してくれたのです。
ではおしまいに、
エチオピアの山奥でコーヒーを発見したのは羊飼いカルディさんだった。
仔のコーヒーは眠りを知らない修道院で使われた。
コーヒーはラクダの背に乗ってイスラム教世界を行き来した。
やがてイギリスへ行き着くと名医ウイリアム・ハーベーが、壊血病と痛風に効くと書き残した(大英博物館蔵)。
その情報を載せたオランダ艦隊がジャワコーヒーを積み込んで長崎へ来た。
折しも幕府は、北方警備に当たった津軽藩兵を壊血病から救うためコーヒーを配給した。
その年、宗谷岬の津軽兵に死者はいなかった。
故事を知った津軽人・成田専蔵は、祖先を祀りコーヒーに感謝する記念碑を建立した。
(第307話 完)
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