変形性関節症の本質的治療を拓く
2023/02/01
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医工連携の実践者84 飯島弘貴 名古屋大学YLC特任助教
連載 : 医工連携の実践者
日本で多くの高齢者が患っている変形性関節症は、加齢に伴って軟骨と周辺組織が線維化し硬く変性していく慢性疾患で、関節が痛んで動かしづらくなる。膝や股に起きれば、身体活動の妨げとなってQOLを大きく損なわせるだけでなく、フレイルに直結し、さらに身体活動不足や「座り過ぎ」を通じて循環器疾患や認知症など多くの疾病リスクも上げる。
よって治療できたなら、健康寿命延伸と医療費・介護費削減に大きく貢献する。しかし残念なことに、発症のメカニズム自体よくわかっておらず、医療機関で主に行われているのは鎮痛を目的とした対症療法に留まる。
ちなみに関節軟骨に細胞が占める割合は数%しかなく、血管や神経線維も存在しない。水分を除いた主要成分は、2型コラーゲンと糖タンパクで構成される「細胞外マトリクス」だ。
1月、『Nature Communic...
日本で多くの高齢者が患っている変形性関節症は、加齢に伴って軟骨と周辺組織が線維化し硬く変性していく慢性疾患で、関節が痛んで動かしづらくなる。膝や股に起きれば、身体活動の妨げとなってQOLを大きく損なわせるだけでなく、フレイルに直結し、さらに身体活動不足や「座り過ぎ」を通じて循環器疾患や認知症など多くの疾病リスクも上げる。
よって治療できたなら、健康寿命延伸と医療費・介護費削減に大きく貢献する。しかし残念なことに、発症のメカニズム自体よくわかっておらず、医療機関で主に行われているのは鎮痛を目的とした対症療法に留まる。
ちなみに関節軟骨に細胞が占める割合は数%しかなく、血管や神経線維も存在しない。水分を除いた主要成分は、2型コラーゲンと糖タンパクで構成される「細胞外マトリクス」だ。
1月、『Nature Communicati