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数学の力で心渦血流を言語化

2023/09/15 会員限定記事

医工連携の実践者99 坂上貴之 京都大学教授

連載 :

 心臓から全身へと血液を送り出す左心室の血液取り込み口(僧帽弁)と出口(大動脈弁)は、隣接していると表現しても過言でないほど近くにある。拡張期に室内へ入ってきた血流が収縮期には向きを反転させて出て行くこととなり、必然的に渦を生じる。この渦が効率よい血液拍出に重要な役割を果たしていることは、心臓を専門とする医師たちの間で常識となりつつあるらしい。  であれば、渦血流の形状や位置、大きさなどの構造を曖昧さなく同定して心機能との関係を評価することができたなら、心疾患医療の質が上がるだろうと考えるのは自然なことだ。前提となる渦血流の可視化までは、近年の画像取得と情報処理の技術進歩により心エコーや心臓MRIのデータから可能になっているが、複雑なうえに時とともに移ろいゆく渦流構造の解釈と評価は医師の経験や勘に委ねるしかなかった。 ...  心臓から全身へと血液を送り出す左心室の血液取り込み口(僧帽弁)と出口(大動脈弁)は、隣接していると表現しても過言でないほど近くにある。拡張期に室内へ入ってきた血流が収縮期には向きを反転させて出て行くこととなり、必然的に渦を生じる。この渦が効率よい血液拍出に重要な役割を果たしていることは、心臓を専門とする医師たちの間で常識となりつつあるらしい。  であれば、渦血流の形状や位置、大きさなどの構造を曖昧さなく同定して心機能との関係を評価することができたなら、心疾患医療の質が上がるだろうと考えるのは自然なことだ。前提となる渦血流の可視化までは、近年の画像取得と情報処理の技術進歩により心エコーや心臓MRIのデータから可能になっているが、複雑なうえに時とともに移ろいゆく渦流構造の解釈と評価は医師の経験や勘に委ねるしかなかった。  

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