医薬経済オンライン

医療・医薬業界をさまざまな視点・論点から示すメディア

生きた細胞で柔らかく3D印刷

2023/12/01 会員限定記事

医工連携の実践者104 境慎司 大阪大学教授

連載 :

 移植医療に使える組織や臓器を人工的に再現するには、生きた細胞を適材適所で所与の形状に組み上げて連携させる必要がある。細胞の成長や組織化さらに機能発揮のしやすさを考えると、全体の構造は生体組織と同様に多量の水を含んだ柔らかな状態、つまりハイドロゲルであることが望ましいのだが、そのかたちを精度高く制御するのは難しい。  例えば、造形の有力な手段と考えられている3Dバイオプリンティングを用いる場合、生きた細胞入りの溶液(ゾル)をインクとして3Dプリンターで立体的に積み重ねてから固まらせる(ゲル化させる)こととなる。この際、ゲル化に時間がかかり過ぎると、構造物が自重に耐えられず変形してしまったり、インクが流出してしまったりする。  精度高く造形するため、ここ数年、細かなゲル粒をプリント補助剤としてコップ状の容器に満たして、そ...  移植医療に使える組織や臓器を人工的に再現するには、生きた細胞を適材適所で所与の形状に組み上げて連携させる必要がある。細胞の成長や組織化さらに機能発揮のしやすさを考えると、全体の構造は生体組織と同様に多量の水を含んだ柔らかな状態、つまりハイドロゲルであることが望ましいのだが、そのかたちを精度高く制御するのは難しい。  例えば、造形の有力な手段と考えられている3Dバイオプリンティングを用いる場合、生きた細胞入りの溶液(ゾル)をインクとして3Dプリンターで立体的に積み重ねてから固まらせる(ゲル化させる)こととなる。この際、ゲル化に時間がかかり過ぎると、構造物が自重に耐えられず変形してしまったり、インクが流出してしまったりする。  精度高く造形するため、ここ数年、細かなゲル粒をプリント補助剤としてコップ状の容器に満たして、そこへ

無料会員限定記事

この記事をお読みいただくためには、無料会員登録が必要です。
ログインもしくは新規会員登録をお願いいたします。
※既にIDをお持ちの方はログインからお進みください

googleAdScence