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がん近傍で植物毒を「現地合成」

2022/11/01 会員限定記事

医工連携の実践者78 横島聡 名古屋大学教授

連載 :

 市販医薬品のおよそ半数は、微生物や植物、海洋無脊椎動物など、いわゆる天然資源に由来する有機化合物からつくられているとの説がある。  それら天然有機化合物や類縁体は、複雑な構造をしていることが多く、人智の及ばぬような優れた働きを持つことも珍しくない。  一例を挙げれば、大村智・北里大学特別栄誉教授が15年にノーベル医学・生理学賞を受賞することにつながり、アフリカの何億人もをオンコセルカ症による失明の危機から救っただけでなく、つい最近まで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にも効くと信じる人の多かったイベルメクチンは、静岡県伊東市のゴルフ場の土に棲んでいた微生物由来のエバーメクチンを改良した誘導体の組み合わせだった。  一方、どれほど働きの素晴らしい天然有機化合物や類縁体でも、原料が潤沢に存在するとは限らず、...  市販医薬品のおよそ半数は、微生物や植物、海洋無脊椎動物など、いわゆる天然資源に由来する有機化合物からつくられているとの説がある。  それら天然有機化合物や類縁体は、複雑な構造をしていることが多く、人智の及ばぬような優れた働きを持つことも珍しくない。  一例を挙げれば、大村智・北里大学特別栄誉教授が15年にノーベル医学・生理学賞を受賞することにつながり、アフリカの何億人もをオンコセルカ症による失明の危機から救っただけでなく、つい最近まで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にも効くと信じる人の多かったイベルメクチンは、静岡県伊東市のゴルフ場の土に棲んでいた微生物由来のエバーメクチンを改良した誘導体の組み合わせだった。  一方、どれほど働きの素晴らしい天然有機化合物や類縁体でも、原料が潤沢に存在するとは限らず、な

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