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がんの免疫抑制をぶっ壊す

2023/06/01 会員限定記事

医工連携の実践者92 片山佳樹 九州大学教授

連載 :

 オプジーボやキイトルーダに代表される免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の成功によって、がんは免疫で治せるという考え方が胡散臭いものでなくなってから、10年経とうとしている。  その一方で、ICIが効果を発揮するのは患者の2~3割に過ぎず、多くの患者はICIに反応しない腫瘍を抱えていることも明らかになった。この「Cold tumor」と呼ばれる免疫抑制状態の大きな原因のひとつが、腫瘍周辺に大量に存在するマクロファージ(腫瘍随伴マクロファージ=TAM)と考えられている。  自然免疫の先兵として貪食と抗原提示を担当しているマクロファージは、平時のM0と呼ばれる表現型から、周辺組織の炎症状態に応じてM1型とM2型の相反する性格の表現型へと変わる(分極と呼ばれる)。  M1型は、急性炎症の引き金サイトカインである腫瘍壊死因子α(TNF―α)を分泌する...  オプジーボやキイトルーダに代表される免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の成功によって、がんは免疫で治せるという考え方が胡散臭いものでなくなってから、10年経とうとしている。  その一方で、ICIが効果を発揮するのは患者の2~3割に過ぎず、多くの患者はICIに反応しない腫瘍を抱えていることも明らかになった。この「Cold tumor」と呼ばれる免疫抑制状態の大きな原因のひとつが、腫瘍周辺に大量に存在するマクロファージ(腫瘍随伴マクロファージ=TAM)と考えられている。  自然免疫の先兵として貪食と抗原提示を担当しているマクロファージは、平時のM0と呼ばれる表現型から、周辺組織の炎症状態に応じてM1型とM2型の相反する性格の表現型へと変わる(分極と呼ばれる)。  M1型は、急性炎症の引き金サイトカインである腫瘍壊死因子α(TNF―α)を分泌するな

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