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DNAの直接光操作に挑む

2023/05/15 会員限定記事

医工連携の実践者91 山吉麻子 長崎大学教授

連載 :

 紫外線を照射すると核酸のピリミジン塩基(DNAならシトシン=Cとチミン=T、RNAならウラシル=U)へ選択的かつ不可逆的に架橋するソラレンという分子がある。イチジクの葉やセロリなどの植物に存在し、古くから乾癬、皮膚炎、尋常性白斑などの光線治療に用いられてきた。  このソラレンをDNAの相補的塩基配列と結合させた「ソラレン結合核酸」を紫外線照射と組み合わせると、遺伝子の転写阻害やノックアウト、はたまた架橋部位を傷と認識して修復しようとする機構を利用したゲノム編集などができる理屈だ。ただしDNAが二重らせん構造で閉じている場合には、既に相手の鎖があるわけで、結合させるのも容易でない。  一方で近年、塩基同士をペプチド骨格により連絡させたPNA(ペプチド核酸)は帯電していないため、リン酸結合由来の負の帯電があるDNAやRNAよりも、ターゲット...  紫外線を照射すると核酸のピリミジン塩基(DNAならシトシン=Cとチミン=T、RNAならウラシル=U)へ選択的かつ不可逆的に架橋するソラレンという分子がある。イチジクの葉やセロリなどの植物に存在し、古くから乾癬、皮膚炎、尋常性白斑などの光線治療に用いられてきた。  このソラレンをDNAの相補的塩基配列と結合させた「ソラレン結合核酸」を紫外線照射と組み合わせると、遺伝子の転写阻害やノックアウト、はたまた架橋部位を傷と認識して修復しようとする機構を利用したゲノム編集などができる理屈だ。ただしDNAが二重らせん構造で閉じている場合には、既に相手の鎖があるわけで、結合させるのも容易でない。  一方で近年、塩基同士をペプチド骨格により連絡させたPNA(ペプチド核酸)は帯電していないため、リン酸結合由来の負の帯電があるDNAやRNAよりも、ターゲットとな

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