医薬経済オンライン

医療・医薬業界をさまざまな視点・論点から示すメディア

がんを菌と光で制する

2022/03/15 会員限定記事

医工連携の実践者64 都英次郎 北陸先端科学技術大学院大学准教授

連載 :

 インドシアニングリーンという肝機能検査に用いられる緑色色素がある。体組織を透過する波長帯の近赤外レーザー光が当たると、同じく透過性の高い近赤外蛍光と熱を発する。このインドシアニングリーンを脂質ナノカプセルに封入してから、水溶液中で天然のビフィズス菌と一晩混合する。何が起きるか、おわかりだろうか。  ヒントをひとつ挙げると、嫌気性のビフィズス菌は、低酸素状態となっていることも多い腫瘍内部へ好んで入り込み、そこで旺盛に増えるらしい。免疫が腫瘍内では弱体化されていることも、菌の増殖に好都合だ。  というわけで、混合後の菌を洗浄してからモデルマウス皮下の腫瘍局所に注入すると、体外からの近赤外レーザー光に対して腫瘍部は安定して近赤外蛍光を返すようになる。色素と混合した菌によって、がんのイメージングをできたことに...  インドシアニングリーンという肝機能検査に用いられる緑色色素がある。体組織を透過する波長帯の近赤外レーザー光が当たると、同じく透過性の高い近赤外蛍光と熱を発する。このインドシアニングリーンを脂質ナノカプセルに封入してから、水溶液中で天然のビフィズス菌と一晩混合する。何が起きるか、おわかりだろうか。  ヒントをひとつ挙げると、嫌気性のビフィズス菌は、低酸素状態となっていることも多い腫瘍内部へ好んで入り込み、そこで旺盛に増えるらしい。免疫が腫瘍内では弱体化されていることも、菌の増殖に好都合だ。  というわけで、混合後の菌を洗浄してからモデルマウス皮下の腫瘍局所に注入すると、体外からの近赤外レーザー光に対して腫瘍部は安定して近赤外蛍光を返すようになる。色素と混合した菌によって、がんのイメージングをできたことにな

無料会員限定記事

この記事をお読みいただくためには、無料会員登録が必要です。
ログインもしくは新規会員登録をお願いいたします。
※既にIDをお持ちの方はログインからお進みください

googleAdScence