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腸内細菌と免疫の共生を照らす

2021/06/01 会員限定記事

医工連携の実践者45 長谷耕二 慶應義塾大学教授

連載 :

 腸内細菌によって食物繊維などから産生される酪酸や酢酸などの短鎖脂肪酸が、宿主であるヒトの健康に重要な役割を果たしていることは、一般にも知られるようになってきた。そして、この4月、やはり腸内細菌の代謝産生物であるプトレッシンも大腸粘膜の健全性に大きく寄与していることが、日本のグループから『Nature Communications』誌に報告された。  プトレッシンは、アルギニンから産生されるポリアミンだ。ポリアミンとは、アミン(NH2)が複数結合した鎖状の炭化水素を指し、プトレッシンにはアミンが2個ある(2価)。ビフィズス菌などのつくり出す酸によって腸の環境が酸性に傾いた際、大腸菌などが自らの身を中性に保とうとしてアルギニンをアグマチンに変換し、アグマチンを乳酸菌などがエネルギー源として使うと産生される。  今回の報告では、プト...  腸内細菌によって食物繊維などから産生される酪酸や酢酸などの短鎖脂肪酸が、宿主であるヒトの健康に重要な役割を果たしていることは、一般にも知られるようになってきた。そして、この4月、やはり腸内細菌の代謝産生物であるプトレッシンも大腸粘膜の健全性に大きく寄与していることが、日本のグループから『Nature Communications』誌に報告された。  プトレッシンは、アルギニンから産生されるポリアミンだ。ポリアミンとは、アミン(NH2)が複数結合した鎖状の炭化水素を指し、プトレッシンにはアミンが2個ある(2価)。ビフィズス菌などのつくり出す酸によって腸の環境が酸性に傾いた際、大腸菌などが自らの身を中性に保とうとしてアルギニンをアグマチンに変換し、アグマチンを乳酸菌などがエネルギー源として使うと産生される。  今回の報告では、プトレッ

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