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COとHCNの同時解毒剤を開発

2023/04/01 会員限定記事

医工連携の実践者88 北岸宏亮 同志社大学教授

連載 :

 社会を震撼させた京都アニメーションや大阪・北新地ビルの放火事件では、熱傷ではなく一酸化炭素(CO)中毒で亡くなった方が大勢いたと報じられた。そしてあまり報じられなかったが、実はシアン化水素(HCN)中毒も死因となっていた可能性がある。  合成樹脂が屋内で燃えたとき大量発生するCOとHCNは、COが赤血球中のヘモグロビンと結合して酸素運搬能力を奪ったり、HCN由来のシアン化物イオンがミトコンドリアのシトクロムc酸化酵素と結合してエネルギー産生を妨害したりすることによって、相乗効果で生命活動継続を困難にする。いずれも体内のヘム(鉄とポルフィリンの錯体)と結合することが毒性につながる。  体内に吸収されてしまったCOとHCNを同時に速やかに解毒する方法は現在のところ存在しない。たとえ一命を取り留めたとしても重大な後遺症が残ることは多く、救命...  社会を震撼させた京都アニメーションや大阪・北新地ビルの放火事件では、熱傷ではなく一酸化炭素(CO)中毒で亡くなった方が大勢いたと報じられた。そしてあまり報じられなかったが、実はシアン化水素(HCN)中毒も死因となっていた可能性がある。  合成樹脂が屋内で燃えたとき大量発生するCOとHCNは、COが赤血球中のヘモグロビンと結合して酸素運搬能力を奪ったり、HCN由来のシアン化物イオンがミトコンドリアのシトクロムc酸化酵素と結合してエネルギー産生を妨害したりすることによって、相乗効果で生命活動継続を困難にする。いずれも体内のヘム(鉄とポルフィリンの錯体)と結合することが毒性につながる。  体内に吸収されてしまったCOとHCNを同時に速やかに解毒する方法は現在のところ存在しない。たとえ一命を取り留めたとしても重大な後遺症が残ることは多く、救命救

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