万能リキッドバイオプシーに一歩
2020/10/01
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医工連携の実践者29 星野歩子 東京工業大学生命理工学院准教授
連載 : 医工連携の実践者
がんのスクリーニング検査を血液など体液(リキッドバイオプシー)でできるようになれば、いま以上に早期発見・早期治療が可能になり、がんによる死者を減らせるだろう。
現行の腫瘍マーカーは平常値の個人差が大きく、発生源のがん種も限られることから、スクリーニングには使えない。そこで、血中を流れるがん細胞(CTC)を捕まえるとか、あるいはがん細胞が放出するエクソソーム(細胞外小胞)を捕まえて中のRNAを調べるといった、リキッドバイオプシーのアプローチが試されている。ただどちらも、どんな相手がどの程度存在するかわからないのに捕まえなければならないという点で、技術的に大きな壁がある。
7月、この状況に大きな一石を投じる論文が米学術誌『セル』に掲載された。体液(血漿・胆汁・リンパ液)を超遠心分離器にかけて一定の比重の細胞...
がんのスクリーニング検査を血液など体液(リキッドバイオプシー)でできるようになれば、いま以上に早期発見・早期治療が可能になり、がんによる死者を減らせるだろう。
現行の腫瘍マーカーは平常値の個人差が大きく、発生源のがん種も限られることから、スクリーニングには使えない。そこで、血中を流れるがん細胞(CTC)を捕まえるとか、あるいはがん細胞が放出するエクソソーム(細胞外小胞)を捕まえて中のRNAを調べるといった、リキッドバイオプシーのアプローチが試されている。ただどちらも、どんな相手がどの程度存在するかわからないのに捕まえなければならないという点で、技術的に大きな壁がある。
7月、この状況に大きな一石を投じる論文が米学術誌『セル』に掲載された。体液(血漿・胆汁・リンパ液)を超遠心分離器にかけて一定の比重の細胞外小