一酸化窒素(NO)は、体内で通常はアルギニンから生成され、血管内皮に働いて血管拡張(血圧低下)をもたらしたり、神経細胞のシナプス間で伝達物質として働いて記憶の定着を促したりするなど、人の健康に重要な役割を果たしている。一方で、過剰だと神経細胞死の原因となること、組織が炎症などの酸化ストレスにさらされた際には過剰に産生されることも知られている。
このNOが、何とエピゲノム調節にも働いていることがわかった。
『Nature Communications』誌に2月に掲載された論文によれば、NOにはDNAメチル基転移酵素と結合して活性を抑制する、つまりDNAのメチル化を妨げて遺伝子発現を上昇させる作用があるらしい。発現亢進されるなかに腫瘍増殖に働く遺伝子もあることから、メチル基転移酵素とNOの結合を阻害する化合物を選抜・合成し、炎症発がんのモデルマウスに...
一酸化窒素(NO)は、体内で通常はアルギニンから生成され、血管内皮に働いて血管拡張(血圧低下)をもたらしたり、神経細胞のシナプス間で伝達物質として働いて記憶の定着を促したりするなど、人の健康に重要な役割を果たしている。一方で、過剰だと神経細胞死の原因となること、組織が炎症などの酸化ストレスにさらされた際には過剰に産生されることも知られている。
このNOが、何とエピゲノム調節にも働いていることがわかった。
『Nature Communications』誌に2月に掲載された論文によれば、NOにはDNAメチル基転移酵素と結合して活性を抑制する、つまりDNAのメチル化を妨げて遺伝子発現を上昇させる作用があるらしい。発現亢進されるなかに腫瘍増殖に働く遺伝子もあることから、メチル基転移酵素とNOの結合を阻害する化合物を選抜・合成し、炎症発がんのモデルマウスに投与