糖鎖で幹細胞を制御
2020/04/15
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医工連携の実践者20 西原祥子 創価大学理工学部教授
連載 : 医工連携の実践者
iPS細胞やES細胞に代表されるヒトの多能性幹細胞の研究や臨床応用には多額の資金が必要だ。大きな原因が、多能性を保った未分化状態のまま細胞を増殖させるには、特許で抑えられた高価な海外製培地を使う必要があり、しかも1g6億円もするFGF(繊維芽細胞増殖因子)を培地に補充し続けないと、細胞の分化が始まってしまうことにある。
FGFの役割は、細胞膜表面の受容体に結合し、さらにその受容体が2つ重合したとき、未分化状態を維持させるシグナルが細胞内に送られることだ。つまり確実に未分化状態を維持させるには、培地にFGFを潤沢に添加し、どの受容体も結合済みであるような状態にするのが望ましい。だが、困ったことにFGFは極めて分解されやすく、だから補充し続けないとシグナルが途絶えて分化が始まってしまう。
一方、生体内では、もっとスマートに幹細胞が維持...
iPS細胞やES細胞に代表されるヒトの多能性幹細胞の研究や臨床応用には多額の資金が必要だ。大きな原因が、多能性を保った未分化状態のまま細胞を増殖させるには、特許で抑えられた高価な海外製培地を使う必要があり、しかも1g6億円もするFGF(繊維芽細胞増殖因子)を培地に補充し続けないと、細胞の分化が始まってしまうことにある。
FGFの役割は、細胞膜表面の受容体に結合し、さらにその受容体が2つ重合したとき、未分化状態を維持させるシグナルが細胞内に送られることだ。つまり確実に未分化状態を維持させるには、培地にFGFを潤沢に添加し、どの受容体も結合済みであるような状態にするのが望ましい。だが、困ったことにFGFは極めて分解されやすく、だから補充し続けないとシグナルが途絶えて分化が始まってしまう。
一方、生体内では、もっとスマートに幹細胞が維持さ